元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
LGBTの人たちへの理解増進法案について、自民党の総務会が了承を見送ったというニュース。この議論はここ10年ほど上がっては消えの繰り返しですが、そろそろ解決させてもいいのではないでしょうか。しかも、東京五輪の開催目前。この報道を見て、IOCのバッハ会長とアメリカ大使館が「日本は何をモタモタしてんじゃ、コラァ!」的な連絡を自民党によこしたというのです。
いかんせんバッハ会長、「東京五輪は女性参加比率が48.8%に達し、ジェンダーバランスが取れた史上初めての五輪になる」と以前に語っていたゆえ、このままでは示しがつきません。はて、自民党(一部)はどうして、そこまでLGBT問題には偏狭なのか。僕が明らかにしましょう。
まず、自民党の保守連中と、民間団体である神社本庁がタッグを組む勢いで反対しているらしいのです。理由は「同性婚カップルが神社に挙式を依頼した際、神社側が拒否したら訴訟問題になるのでは」という懸念。実際にアメリカで同性婚に反対の敬虔なクリスチャンの花屋が、同性婚の装花依頼を拒否したら訴訟を起こされた、という事例があったとか。他国とはいえ、宗教の自由と個人の権利の闘いという意味では、グローバルな問題です。
というのは、日本には無宗教派が多いとはいえ、神社を祀る神道が存在します。その神社界を牽引する神社庁の根底には古事記の思想があり、そこには根強い男尊女卑があるのです。そもそも日本島の成り立ちは‥‥ってやつですが、「女性神から声をかけたらヒルコが生まれ、男性神から声をかけたら立派な島々が生まれた‥‥云々」、というくだりがあり、その考えが染みついているのだと。
もうひとつ、男性が女装して女子トイレに入ってきても注意できなくなるのでは、と心配する議員がいるのです。これはまた違う問題ではないですか。変態ヤロウの性犯罪はいつだってありますから、そこは別モノとして考えるべき。
それと今回、法案を通すいつもの流れとは違うところも気になります。そもそも議員立法は総務会を通し、総務会長が承認しての閣法(内閣が提出する法案)となります。が、LGBT法案はなぜか、自民党三役の預かりになったというのです。これはひょっとして‥‥総務会長が逃げているパターンではないでしょうか。他の閣法に時間がかかっていて審議時間が足りない、という理由を出したようですが、自民党の古いやり方です。あっちにボールを投げたらこっちに、こっちにボールを投げたらあっちに、最後は公明党がボールをキャッチして問題を解決していく気配です。
話は異なりますが、歴史的な偉人の中にはLGBTが多く存在するという説があり、日本で初めての男性同士のカップルは、日本書紀に登場する、和歌山県小竹八幡神社の小竹祝と天野祝だという話を読んだことがあります。日本書紀は古事記の成立から8年後に編纂されていますので、神道は古事記から一歩進んで、日本書紀を踏襲してみるのはどうでしょうか。
自民党のおっちゃんたちも、このままではガラパゴスを通り越して化石です。そういえば某大臣がむかーし、西麻布の高級ゲイバーに通っているとの報道が出たことがあったと‥‥。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。