元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
アメリカのトランプ大統領が、コロナ感染で緊急入院。わずか3日で強行退院しましたが、当初はどうなることやらと思いました。重症化して万が一のことがあったら…。
かつてアメリカ大統領選が延期になったことはないし、そうなったらやっぱりバイデン前副大統領が有利か、というのは杞憂に終わりました。トランプ大統領はホワイトハウスに戻るやいなや、まるでダチョウ倶楽部が帽子を床に叩きつけるがごとき、マスクをひっぺがしました(叩きつけてはいませんが)。日本なら政権が吹っ飛ぶところですが、アメリカってこういうシーン、嫌いじゃない!? 「ホワイトハウスクラスター」なんて、まるでドラマタイトルかーい、と不謹慎にもツッコミを入れたくなります。
「そもそもトランプさんとバイデンさんのどちらが大統領になったら、日本にとってはよいのでしょう」とよく聞かれます。そこを考えるにはまず、日米関係の基本である「日米同盟」から掘り起こさないといけません。ですが、僕が議員時代に感じたのは、案外「日米安全保障条約」を理解できていないということです。安保条約には根深い問題があり、様々な世界感情も入り混じってきますので、簡単には語れません。けど、あえて言うなら、僕は今の日米関係はウインウインだと考えています。すなわち、日本は軍隊を持たないのでアメリカに守ってもらい、その代わりにアメリカには基地を提供します、というもの。そして何より、世界的な軍事脅威となっている中国や北朝鮮などを牽制する軍事体制の立地として、日本が最適だから。米軍基地は沖縄だけでなく日本全国に配置されていますし、米軍の世界展開を支えているのは日本です。
それなのに昨年、トランプ大統領は、「日本が攻撃されれば米国は犠牲を払ってでも守るのに、日本は戦わないなんて不公平だ」と発言。一方で、彼の悪態は本音スレスレのパフォーマンス、とも言われています。商売人のトランプさんのこと。多額の米軍駐留経費を負担している日本には、うまみを感じているはずです。
一方のバイデンさんは「国際協調を重視した多国間外交が予測され、日本には過度な要求はしない」としています。とはいえ、実際は「アメリカの負担を減らし、同盟国の貢献を増やす方針」「日本へは安全保障面で何らかの負担を求める方向」ではないかと予測されています。加えて親中派。つまりです。ジャイアンはのび太をいじめるけれど、いつも守ってますよね。隣町から悪ガキ軍団がのび太をいじめに来たら、彼が盾になって必死で撃退するでしょう。それでも時折、のび太からおもちゃを奪いますし、悪態をついて泣かせたりもします。それを横目で眺めるスネ夫(中国)が漁夫の利を狙おうとしたら‥‥。
スネ夫を直に脅すタイプがトランプさん。バイデンさんはむっつりタイプで、根回しで諭す。見た目的にジャイアン度が高いのはトランプさんですが、どうやらバイデンさんものび太を悩ます感じになってます。って、ドラえもん論になってしまいました。
とにもかくにも、トランプさん、まずはマスクをつけましょう。そうじゃないと、ホリエモン論争になってしまいますよ。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。