元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
このままでは、この国は独裁国家です。コロナ問題、もう収拾がつかなくなっていますよね。現役の自民党議員が「コロナ特措法改正案の叩き台を目にして、震えが止まらない」と話していました。報道で取り上げられているものだけでも「新型コロナに感染し入院を拒否した人に、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金を科す」ことを検討しているとか。もう、どれだけ厳しいのか。
さらに「疫学調査を拒否したり、虚偽の内容を答えた感染者についても罰則を設ける」ようですが、そもそも熱が出たってPCR検査をしなければいい、という人も増えてきます。現に僕の周りでも、会社で社員6人が一斉に39度の熱を出したにもかかわらず、PCR検査をせず、「結局、溶連菌でした」と事後報告。子供ならともかく、成人が同じ日に溶連菌にかかりますかね。仮に彼らが実際に溶連菌だったとしても、虚偽ではないことを主張する「勘違いコロナ」がもっと増えたら、次なる手段は「熱が出た人に罰金を科す」。これは極端ではありますが、どうやら本来の目的がなんなのか、見失っているような気もします。
実は官邸以外の自民党議員たちは、今回の緊急事態宣言の発令をニュースで知ったと嘆いています。本当なら年明けすぐに国会が召集され、意思決定過程を得て重要事項を決めるべきですが、なんという悲劇。
この緊急事態宣言、国民からは夏炉冬扇だとの猛批判があります。政府は「とにかく経済を回さないと大ダメージになる。自殺者も増えている。もし緊急事態宣言を出すとしても、2月の閑散期までなんとか引き延ばせるように対応していこう」とまで話し合っていたということですが‥‥。それが急遽、年始に小池さんら3知事から菅総理に超ド級のパンチが入って一転。緊急性があったにせよ、平場の議論を通さず、官邸が勝手に宣言を出してしまったという流れです。
憤りを感じている若手議員は、突き上げの電話をかけています。西村大臣にいたっては、
「転がっちゃったものはもう止まらないんだよ!」
と答えて、ブチッと電話を切った。そういう意味で僕は、コロナ感染者の増加よりも、政府幹部の暴走のほうが国難としか言いようがないと感じています。
そうそう。国難といえば思い出すことがあります。それは僕が議員時代、小泉進次郎氏と雑談をしていた際の彼の言葉。
「国難の時こそ、僕の出番が来るんです」
だったら、今こそ出番じゃないですかね。
先日、渋谷の駅前でフツーのこぎれいな身なりの中年男性がお皿を目の前に置いて、地べたで物乞いをしていました。前回でも書きましたが、飲食店ばかりにシワ寄せが及んでいる反面、1日6万円の協力金をもらっているため、逆にコロナ太りしているお店もあります。売り上げに応じて支払額を決めないと不公平すぎる。他に本当に公助が必要な場所はあるのではないでしょうか。必要な個人を割り出せるマイナンバーとの紐付けこそ、早くすべきことなのでは。
ライク・ア・ローリング・ストーン。西村大臣、転がり続けて、いったいどこで止まるのでしょう。官邸はみんな高齢者なので、苔むしている気もしますが。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。