「昭和の怪物」と称され、巨人で活躍したた元プロ野球選手・江川卓氏。1年目の1979年こそ9勝10敗と負け越すも、2年目、3年目を16勝、20勝で2年連続最多勝利のタイトルに輝き、以後、引退する87年まで連続2ケタ勝利をあげ活躍した。
そんな江川氏を象徴するゲームといえば、84年、ナゴヤ球場で開催されたオールスターゲーム第3戦の“8者連続奪三振”の記録だろう。江夏豊氏(阪神)が71年の第1戦で記録した9者連続奪三振に並ぶ偉業を期待されたが、9人目の打者、大石大二郎氏(近鉄)への3球目のカーブをバットに当てられ、セカンドゴロとなったのだ。なぜカーブを投げたのか、なぜストレートで押し切らなかったのかと悔やまれるところだが、実は、江川氏ならではの、さらなる高みを目指しての投球だったことが明かされる番組があった。
元プロ野球選手、田尾安志氏のYouTubeチャンネル「田尾安志【TAO CHANNEL】公式YouTube」の7月24日の投稿動画がそれで、後年、田尾氏が「なぜカーブを投げたのか」と江川氏に聞いた際のことが明かされている。それによれば、江川氏は、まず大石氏を追い込んでカーブで空振り三振をとるが、それがワイルドピッチ、もしくはパスボールとなり大石氏が出塁し、続く10人目のバッターも三振にとるというシナリオも描き、10者連続奪三振記録を狙っていたようだという。
そんな江川氏について、「オールスターでそこまで考えるだけの余裕がある。超一流のバッターが束になってかかっても打てないボールを当時の江川君は投げてたなという証だと思いますね」と讃えた田尾氏。それにしても、限られた3回の中で、実は9人どころか10人から三振を奪おうとしていたとは…江川氏の怪物ぶりを証明する、見応えのある動画だ。
(ユーチューブライター・所ひで)