芸能

「たかじんとたけし」東西帝王の酒場交流“涙”秘話(2)

 たかじんがたけしとの共演を実現させることができたのは、悩みを洋七に相談したのがきっかけだった。

 まだ2人に面識がなかった92年。「たかじんnoばぁ~」のプロデューサーから洋七に連絡があり、洋七にしてみれば名前は知っているが顔はあまり知らなかった、当時すでに人気司会者となっていた男の悩みを聞いてくれとの頼みだったという。

「プロデューサーやディレクターではなく、芸人にイチから話を聞いてもらいたかったけど、大阪でやってるから大阪の主流に聞くのは嫌やったみたい。それで『何、悩んでんねん?』って言うたら、『番組、辞めたい』って」

 たかじんが吐く思わぬ弱音に対し、洋七は叱咤したという。

「何で辞めんねん」

 ところが、たかじんは世間一般で思われているようなイメージとは違うもの言いで、こう漏らしたそうだ。

「これから先が怖い‥‥」

 畳みかけるように、洋七はこう尻を叩いた。

「怖いって言ったって、芸能界、ずっと怖いやん。はっきり言うけど、『たかじんnoばぁ~』が調子いいからコンサートに客が入るんやろ。それ辞めたら、コンサートにも客、来なくなるよ。だから、やったらええやん。視聴率が悪くなるまでやったらええやん。こんなの使い捨てやで、芸能界なんて。いい時に辞める必要、何もないやん」

 さらに、歌手として一生ヒットを出し続けることの難しさや、芸人でも長続きするためには仕事を替えていかなければならない運命について話すと、たかじんもうなずいた。

「ああ、わかりやすい。1回、洋七さん、ゲストで出てくれませんか?」

「じゃあ、いつかね」

 その後、1回どころか、洋七は「たかじんnoばぁ.」の常連客となっていく。同時に番組も好調を維持していくが、洋七の記憶では3~4カ月ほどたってから、たかじんから飲みに行って相談したいことがあると持ちかけられたそうだ。

「やっぱり、関西は関西でいいけど、僕、1回、東京出て失敗したんです。もう1回、何かをやってみたい」

 洋七に真剣なまなざしを向けるたかじんは、こんな内輪話まで打ち明けたのだという。

「それには、東京のすごい人たちと会ってみたい」

「こっち来んやろ、そんなのは‥‥」

 即座にはそう返したものの、洋七は期待に応えるよう言い直した。

「でも、1回ぐらい俺がプレゼントしたるわ」

 そして、洋七の親友・たけしが大阪まで来ることが決まるや、たかじんの様子はそれまでのキャラとは一変したという。

「ムチャクチャ緊張してたもん。俺に『来週、たけしさん来るから、こことこことここをロケハンしとく』言うて、料理屋、クラブ、カラオケなんかを回ってた。番組の本番中ではワァ~言うてましたけど、収録後はふだんと全然違ってました」(洋七)

 収録でさんざん飲んだはずなのに、新地に繰り出し、東京進出を熱く語ったというたかじん。そこには東の帝王を憧れの目で見る少年のような西の帝王の姿があった。

「俺とたけしが2人でワァ~ッとしゃべってたら、たかじんは、『たけしさん、すごいですね。また映画作るんですか』なんて言いながら、ふだんとは違って聞き役になっていた。2~3軒しか行かなかったけど、けっこう酔っ払い、いい気持ちになって帰りましたよ」(洋七)

 周囲の反応も、東西の帝王を見る目に異変があったという。

「やっぱり、たかじんが新地歩くのとたけしが通るのじゃ違うもん。たかじんは『ウォ~!』って握手攻めだけど、たけしは人がうごめくけど誰も寄らんもん。『たけしだ!』って見てるだけ。それで10人に1人ぐらいは『洋七やん』。ホンマやて(笑)。いずれにせよ、たかじんは喜んどった。『わざわざ大阪まで連れてきてくれてありがとうございました』って言ってましたよ」

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
3
暴投王・藤浪晋太郎「もうメジャーも日本も難しい」窮地で「バウアーのようにメキシコへ行け」
4
侍ジャパン「プレミア12」で際立った広島・坂倉将吾とロッテ・佐藤都志也「決定的な捕手力の差」
5
沖縄・那覇「夜の観光産業」に「深刻異変」せんべろ居酒屋に駆逐されたホステスの嘆き