芸能

「たかじんとたけし」東西帝王の酒場交流“涙”秘話(1)

20140130ab

「関西の視聴率男」の名をほしいままにした、帝王・やしきたかじんは東京など歯牙にもかけないと思われがちだった。しかし、本音は真逆だったようだ。それだけに、東京のトップ・ビートたけしとの交遊はかけがえのない財産だったのである。

 1月3日にやしきたかじん(享年64)は逝去したが、「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ系)、「たかじん胸いっぱい」(関西テレビ系)、「たかじんNOマネー」(テレビ大阪系)という高視聴率冠番組3本は、死してなお継続が決まった。さすがは「関西の視聴率男」の面目躍如である。

 たかじんの冠番組といえば、かつて深夜帯にもかかわらず、関西で20%を超すお化け番組「たかじんnoばぁ~」(読売テレビ系)があったことを思い出す。テレビの収録でありながら、本物のバーを模したセットで酒を飲み、危険球スレスレのトークを繰り広げた伝説のバラエティだ。

 中でも25.1%という高視聴率を記録した、93年5月8日放送のビートたけし(67)がゲスト出演した回は衝撃的だった(翌週15日にも後編が放送された)。

 何より、たけしが関西の番組に初めて出演した、ということが話題となったのである。放送内で、その経緯をたけしが話し始め、“東西芸人の壁”について触れた時のことだ。

 これに対し、バーのマネジャー役・トミーズ雅(54)はあまり気にしないといった立場の意見を口にしたのだが、なぜか、たかじんが激高しだしたのである。

たけし「何か芸人さんって、東京と関西って妙な壁あるよね」

たかじん「あるあるあるある」

「僕は全然ないです」

たけし「ない?」

たかじん「ウソ言え!」

「ホント、ホント」

たかじん「ウソ言えっ!」

「壁はないでしょ」

たかじん「ウソ言えっ!」

「いやっ、ホンマホンマ」

たかじん「あるわっ!」

たけし「何もそんなにシーンとさせなくても(笑)」

 たけしのひと言で冷静さを取り戻したたかじんは、苦笑いを浮かべて頭をかくのだった。この時、たけしの横でグラスを傾けていた共演者・島田洋七(63)が、たかじんの“過剰反応”について語る。

「あれは、大阪の番組やから、視聴者へのリップサービスかもね。大阪はけっこう意識するから。でも、たかじん自身、本当は東京でやりたかった。『1回ぐらい東京でやりたい』って言うてたもん。俺が『世界恋愛教教祖』って企画書を書いて、どっか持ってったけど通らなかったな」

 たかじんといえば、「東京」という名曲ではヒットを飛ばすものの、かつて挑んだ東京進出では、関西でのような地位を築くこともなく早々と撤退している。以降は、半ば「東京嫌い」のイメージすらついてきた。洋七はこう否定する。

「何か、たかじんが『俺は大阪でしかせえへん』みたいなことを言ってたようなのを読んだけど、それは本音じゃないと思う。大阪だけで流れる番組で大阪の悪口は言わないですよ。『東京なんか何や』言う人多いやん。でも本来なら、東京で勝負しようと思ってる人いっぱいおるもんね。行く勇気ないから『東京なんか‥‥』言うけど、東京は日本一の市場やから。たかじん、バカちゃうから、心から全否定はしてなかったよ。俺に『東京、1本でもやりたいな』言うてたから」

 たかじんはたけしと初共演した収録後、一緒に酒場に繰り出すと、胸に秘めていたその野望を明かし、かつては果たせなかった東京で通用するテレビ番組の企画について相談していたという。

「たけしは『そりゃあやりてえよな、全国ネット』って言ってたよな。『どういう時に考えるんですか?』って、たかじんが聞いたら、『適当だよ、あんちゃん』とか言うてたかな」(洋七)

◆アサヒ芸能1/21発売(1/30号)より

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
3
暴投王・藤浪晋太郎「もうメジャーも日本も難しい」窮地で「バウアーのようにメキシコへ行け」
4
侍ジャパン「プレミア12」で際立った広島・坂倉将吾とロッテ・佐藤都志也「決定的な捕手力の差」
5
沖縄・那覇「夜の観光産業」に「深刻異変」せんべろ居酒屋に駆逐されたホステスの嘆き