日本女子ゴルフ界の隆盛は、まだまだ続く。海外メジャー女王の渋野日向子(23)が米ツアーに初参戦すれば、国内メジャー2勝の原英莉花(22)は「新ジャンボ軍団」の妹分と賞金女王争いを演じる。一方、2月の北京冬季五輪は、東京五輪のようなメダルラッシュとはいかないようで‥‥。
“ルーキー・しぶこ”が米国で注目の的だ。スポーツ紙デスクが驚く。
「昨年12月に米女子ツアーの予選会を突破。フル参戦するためにはギリギリの20位でしたが、メジャー女王の知名度は群を抜いていた。米メディアの多くが『注目のルーキー』『ニュースター誕生』と報じ、国内7勝(アマで1勝)で予選会7位だった古江彩佳(21)がかすんでしまったほど」
今年の米国内では「大谷スマイル」と並んで「スマイリングシンデレラ」が話題を呼びそうだ。ゴルフライターもこう話す。
「世界ランク1位に輝いた宮里藍(36)や、マスターズを制した松山英樹(29)にしても、ルーキーイヤーは苦戦していました。その教訓を生かして渋野には厚いサポートがつく。特に田谷美香子マネージャーの存在が大きいですね。英語が堪能で、栄養満点の料理が作れてキャディーも務める。2人が所属する事務所の関係者が『失恋ショックからすぐに立ち直れたのも彼女のおかげ』と話していたように、精神的な支えにもなっている。日本のようにプライベートで騒がれない環境もしぶこ向きですし、メジャー2勝目に期待できます」
国内に目を移せば、昨年のプロテストをトップで合格した佐久間朱莉(19)が加わる「新ジャンボ軍団」がツアーを盛り上げそう。中でも注目は新世紀世代で急成長中の西郷真央(20)だ。
ゴルフジャーナリストの宮崎紘一氏が解説する。
「彼女は『ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー』の第1期生で、あのコワモテのジャンボが『西郷どん、いいね』なんて感じで誉めながら育てている逸材です。身長は158センチと小柄だけど、ジャンボ好みのパワフルなスイングが魅力だね」
20─21シーズンは優勝こそなかったが、21大会でトップ10入りし、年間獲得賞金ランクは4位(約1億7900万円)。同門の先輩・原を上回った(約1億2600万円で8位)。
「ジャンボはちょっとムラのある原には厳しい物言いをするんです。昨年もマスコミの前で笹生優花(20)を引き合いに出して『原より上』なんてハッパをかけていた。でも、ツアー未勝利の西郷には『常に上位でいることがすごい』『勝つことが全てじゃないよ。ゴルフ人生は長い』と直接アドバイスを送り、ストイックなタイプの西郷を上手に導いている。今年は原と西郷が賞金女王争いを演じて、世界進出のステップにするんじゃないかな」(前出・宮崎氏)
世界といえば、2月に「北京冬季五輪」が開幕するが、「東京五輪」のようなメダルラッシュは期待できそうもない。スポーツ紙デスクによれば、
「東京五輪では58個のメダルを獲得し、過去最多を記録しました。でもそれは自国開催のメリットに加え、コロナ禍という特殊な事情が背景にあったからです」
例えば、選手村近くのホテル内に「日本選手団専用の食事施設」を設けるなど、アドバンテージは大きかったという。
「選手村の食堂は外国人選手たちで大混雑。練習施設にしても、事前キャンプの中止や競技5日前の入村ルールなど、外国勢は調整に苦しんだ。今度は日本が苦しむ番です。報道陣でさえホテルから歩いて5分の会場にもバスを使用するなど、コロナの感染対策を理由に全ての行動が制限されることになる。08年の北京、14年のソチの時ですら、本来30分ぐらいで到着するはずなのに2時間かかった、というケースもありましたからね」(スポーツ紙記者)
移動だけでなく、試合会場にも不安が募る。
「冬季五輪であれば雪質対応以上にリンクの氷に苦しめられる。14年ソチの浅田真央(31)がいい例です。公式リンクでの練習時間が少ないため、別の練習場に移動したら、ザラザラで調整に失敗してしまった。あの時と同じように、メダル候補の女子カーリングも心配です。カーリングのリンクは両サイドほど氷の変化が起きやすい。公式練習はもとより、本番でも両サイドのリンクを中心に試合が組まれることも予想されます」(前出・スポーツ紙記者)
有観客試合で会場を味方にすることも厳しい中、こうした“嫌がらせ”が多方面で横行すれば、メダルどころじゃないかも。