「鼻詰まりがなかなか治らない」「鼻がグシュグシュしている」──。この原因は「副鼻腔炎」かもしれない。これは風邪のウイルスや細菌、アレルギーなどにより「副鼻腔(鼻腔につながる顔面骨の空洞)」の粘膜に炎症が起きて発症する。
特に厄介なのが「好酸球副鼻腔炎」だ。再発性・難治性の病気で、1990年代後半から患者数が増加している。かつては「アレルギー性副鼻腔炎」と言われたもので、鼻の中の粘膜が炎症で腫れて、見た目がキノコのようになった「鼻茸(鼻腔ポリープ)」ができるのが特徴だ。
「鼻茸」自体は良性の腫瘍だが、風邪をひいたり、細菌感染が起こったりするたびに大きくなり、悪化すると鼻の穴からあふれそうになることもある。
「鼻茸」は、臭いを感じる通り道にできやすいため「嗅覚障害」の症状も出る。悪化すると、膿性・粘性の鼻汁や鼻詰まりの分泌物が喉のほうに下がり、喘息や気管支炎、中耳炎なども発症する。
この病気は40代以降の働き盛りに多く見られ、慢性疲労や睡眠不足、ストレスなどによる免疫力の低下が推測されている。
治療はステロイド処方が一般的だ。軽度のうちは噴霧薬を使用し、効果が低い場合は吸入、さらに内服薬の使用へと変わる。ただし、ステロイドを長期で使用すると、高血圧や感染症などの副作用のリスクがあるため、使用が長期になる場合は手術を行うことも。
注意してほしいのは、ステロイド治療で一時的に症状を落ち着かせても、治るわけではないことだ。症状が緩和して、自己判断で中止してしまうと、かえって悪化させる人も多い。
受診の目安は、嗅覚障害があるかどうかだ。この症状が疑われたら、専門性の高い病院で検査を受けたほうがいいだろう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。