夜中に何度も目が覚めてしまう。毎朝決まって早い時間に起きてしまう│これらの症状は「不眠症」かもしれない。
「不眠症」は、夜寝つけない、深夜に目が覚めてしまう状態が1カ月以上続き、日常生活に支障が出る場合を指す。実は、多くの中高年が不眠症に悩まされていると言われている。
その一番の原因は「老化」だ。年齢と共に睡眠が浅くなってしまいがち。そんな「不眠症」とうまく付き合っていくためには、無理に寝ようとする必要はない。寝ないといけないと思い詰めることで、かえって覚醒してしまうからだ。寝つけない時には、いったん寝床を離れることもポイント。他にも、日中の活動量を増やしたり、昼寝を最低限にとどめたりすることで、生活にメリハリをつける方法も有効だ。
「不眠症」は加齢と共に現れる症状なので基本的には心配ないが、日中の活動に支障が出てきたら注意が必要だろう。
実は、近年の研究で「不眠症」と糖尿病や高血圧などの生活習慣病との関係性について解明が進んでおり、不眠の影響でうつ病や高血圧になる可能性は2倍、糖尿病になる可能性は2〜3倍ほどに跳ね上がってしまうという指摘がある。「眠れないだけ」と不眠を我慢していると、次第に生活習慣病をはじめ他の病気のリスクが上昇する危険もあるので注意が必要だ。
また、睡眠時無呼吸症候群という病気が隠れている可能性もある。これは、睡眠中に、喉の骨格筋が弛緩して空気の通り道である上気道が狭くなり、短時間、呼吸が止まる病気。眠りが浅くなるため著しい睡眠不足となるため昼間に強い眠気が起きる危険もある。
「たかが不眠」と侮らず、まずは内科を受診するようにしよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。