テリー 今はご主人と2人で住んでるの?
烏丸 2人です。どこ行くのも、スーパーも一緒。このコロナでリモートで仕事してるじゃない。ほとんど会社に行かないから、毎日家にいるよ、あの男。なんにも気にならない。勝手に仕事してて、私はこっちでなんかやっててみたいな。
テリー いいねぇ。じゃあ夫婦仲もよくて。将来の話とかもする?
烏丸 する。「もう東京にはいないかな」みたいな。彼が仕事をやめたら、こっちにいる意味ないじゃないですか。私も仕事続けるとしても、通ってでもやれるし。何しようか決めかねてるんだけど。
テリー 何しようかって役者でしょう。
烏丸 もうやめたい。
テリー 何を?
烏丸 仕事を。もうそろそろやめようかな。別にこんなこと言わなくてもいいんだけど。なんかもう疲れた。ものすごいエネルギーがいるの、現場に行くのが。
テリー 役者として?
烏丸 うん。ものすごく集中しなきゃいけないし。ちゃんとやろうとするタイプだから。いい加減なヤツは年取っても平気でやるわけ。私はちょっとムリかな。ものすごく疲れる。
テリー 今66歳でしょう。
烏丸 来月67歳。
テリー そうか。朝起きて、プレッシャーもあるしね。
烏丸 そうそう。
テリー お腹も痛くなるし。行きたくないよね。
烏丸 行きたくない。行くけど。
テリー わかりますよ。人生を真面目に生きてると、逆に行きたくないよね。
烏丸 そうでしょう。よくわかってる。
テリー 俺さ、登校拒否の子供の気持ちが最近わかるようになった。あの子たち学校が嫌なんじゃなくて、真面目に考えてるから行きたくないんだよね。
烏丸 そうかもね。
テリー 役者やめて、どうするの?
烏丸 何しようかな。70歳ぐらいまでは役者やるけど、そのあとは。
テリー しゃべりはおもしろいよね。
烏丸 そういうことはもうしたくない。もっと全然違うことを。日本では仕事は死ぬまでしなきゃいけないじゃないですか。欧米は稼ぐだけ稼いで、あと遊びましょうだけど。日本人はそういうことできないじゃない。大橋巨泉みたいには。
テリー 巨泉さんも最後、戻ってきちゃったもんね(笑)。
烏丸 ねぇ。何しようか。テリーさん、から揚げ屋やってるじゃない。店舗ひとつちょうだい。
テリー アハハハ。そういうのでもいいの?
烏丸 全然。
テリー 芸能界に未練はないんだ。
烏丸 なんか役が来たら来たで、おもしろいのがあったらやるけど。
テリー 今回の映画が公開されたら、また来るんじゃないの。変てこりんな役だからさ。
烏丸 変てこりん(笑)。いいね、そういう逆宣伝。
テリー たぶん、これ読んだ人は「そんな変な映画なら見てみよう」って思ってるよ。お笑いも「今日はおもしろくない」って最初に言うと、ハードルが下がるから。
烏丸 わかる。
テリー だから舞台挨拶も映画の前に出て、「私、あんまり納得してないんですけど、ちょっと見てください」って言ってよ。そうすれば、みんな「そんな言うほどダメじゃなかったよ」って言ってくれる。
烏丸 それ、いいかも。そういえば、さっき監督に「烏丸さん、お願いだから余計なこと言わないで」って言われたんだけど、けっこう言っちゃったな。まぁ、しょうがないか。舞台に比べたら、全然高くないんで。シニア割かなんかで映画館に来てください。
◆テリーからひと言
スゴいおもしろかったなぁ! 今度ぜひ、ラジオにもゲストに来てよ。あと、どこかでスナック「せつこ」をやってほしい。楽しい店になるだろうね。