テリー これ、撮影はどのぐらいかかったの?
烏丸 2週間ぐらいじゃないですか。恐ろしくインディーズだから。監督1人、カメラマン1人、照明1人、録音1人。以上。
テリー あ、全部で4人なんだ。じゃあ、マイクロバスみたいなのでワーッと。
烏丸 そう、こぢんまりと。こんな人数でも映画って撮れるんだって、なかなかおもしろかった。
テリー 以前、市川準さんの映画に出た時に、市川さんが「ロケ隊が50人も100人も来るのがほんとに嫌だ」って言ってた。「なんでこんなに必要なんだ」って。
烏丸 それ、多すぎない?
テリー でも今、テレビドラマだって交通整理から何から含めると、30人ぐらい来るよ。そうすると、そっちに神経遣うから疲れちゃうって。逆に4人ぐらいだとチームワークもよくなるんじゃないの。小回りもきくし。
烏丸 みんなと協力し合いながら「ここはどうする?」「あそこどうする?」とかね。
テリー あ、いいじゃん。そういう時って、烏丸さんもアイデア出したりするの?
烏丸 撮り方に関しては言わない。私はホンだけ。撮影に入る前に「ここ気持ち悪いんですけど」とか。けっこうありますよ。
テリー 例えば、この映画で言うと?
烏丸 さっきも言った、私が浮気することになった原因を話すシーンとか。だってさ、「ねぇ、あなた覚えてる? 私が誘ったのに来てくれなかった」みたいな、「こんなセリフあるか?」っていうセリフを延々言うんだよ。旦那が「お前はヒザに乗ってきたんだけど、オッパイもケツも触れなかった」とか。「そんな変なセリフ、下元さんにも言わすなよ」って。
テリー 下元さんはもともとピンク映画の人だから、そういうの手慣れてるんじゃないの。
烏丸 でも、それはホンとは関係ないから。そういうのがいっぱいあった。「この言い回しは古いんじゃないか」とか、そういうのは言いました。
テリー この役はなんで私なのっていうのは聞いた?
烏丸 これね、出演者をピンク映画の人でまとめたかったらしくて。下元さんしかり、ピンク四天王と言われてる佐野和宏監督も役者として出てるじゃないですか。プロデューサーの寺脇(研)さんも、そういうのが好きなんですよね。
テリー 烏丸さんはピンク映画の人じゃないでしょ。
烏丸 だから「私だけ、なんで?」って聞きましたよ。そしたら誰かピンクの人に断られたみたい。監督に「私だけアウェイ感あるんだけど」って言ったら、「ちょっと断られちゃって」って。そんなこと言わなくていいのに。だから私だけがちょっと違うの。
テリー でも、烏丸さんが出ることによって、化学反応が起きてるよね。ピンクの人だけじゃつまんないじゃない。
烏丸 そうそう、それはあるかも。
テリー 烏丸さんは少し前にNHKの朝ドラにも出てたし、これまでの足跡があるわけじゃない。相変わらず今日の話もおもしろいし。入ることによって化学反応が起きてて、その辺は作品としては、すごくよかったと思うけどね。
烏丸 わかんない。どうですかね。たぶん、あんな情けない男見るの、男の人も嫌だと思うけどね。
テリー やっぱり、男ってもろいよね。
烏丸 うん、そうね。女は結局、強いんだよね。女はもう「私、謝らないわよ」って言うから。それはおもしろいかなと思いますね。