「現代のベートーベン」の話題で注目を集めた“聴覚障害”だが、ある日突然耳が聞こえなくなる「突発性難聴」が増えている。ストレスが大きく関与しているのでは、と考えられてはいるが、原因も決め手になる治療法もなかった。そんな中、朗報が飛び込んできた。
歌手の浜崎あゆみや藤あや子、音楽家の坂本龍一、そして元プロ野球選手の桑田真澄氏らが発症したことで注目を集めるようになった突発性難聴。厚生労働省の急性高度難聴に関する調査研究によれば、この20年ほどで患者数は約2倍になっている。昨日まで普通に聞こえていたはずの音が、突然まったく聞こえなくなる内耳の疾病で、厚生労働省の「特定疾患」に指定されており、ステロイド剤の投与が治療の主流になっている。
しかし、ステロイド剤は効果も高いが副作用も懸念される。そんな中、自然科学究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)のチームが、この患者に、聞こえにくい耳を使ってクラシック音楽を聴き続けてもらう実験をした結果、高い治療効果があることを突き止め、先月29日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」電子版に発表した。
難聴の耳にあえてクラシック音楽の旋律を積極的に送り続けたことで、対応する脳の部位が再び活性化したと考えられるというのだ。
「3年前から聞こえていた」のは、もしや……。