●ゲスト:小椋佳(おぐら・けい) 1944年、東京生まれ。東京大学法学部卒業後、当時の日本勧業銀行に入行。音楽活動にも打ち込み、1971年にアルバム「青春-砂漠の少年-」を発表。翌年の3作目のアルバム「彷徨」は100万枚のセールスを突破。また、1975年の布施明の「シクラメンのかほり」、中村雅俊の「俺たちの旅」、梅沢富美男の「夢芝居」、美空ひばりの「愛燦燦」など、多くのアーティストへ作品提供している。2021年、ラストアルバム「もういいかい」(ユニバーサル・ミュージック)リリース。ラストツアー「余生、もういいかい」開催中。著書「もういいかいまあだだよ」(双葉社)発売中。
銀行員として働く傍ら、音楽活動を始めた小椋佳。「シクラメンのかほり」「愛燦燦」「夢芝居」など多くのアーティストへ楽曲提供もしてきた。昨年、ラストアルバムを発表し、現在はファイナルコンサートツアーの真っ最中。今、活動を終えようとする理由に天才テリーが迫る。
テリー 著書「もういいかいまあだだよ」を読ませていただきました。
小椋 あ、そうですか。
テリー ビックリしました。小椋さんも書かれてるように、僕も小椋さんのことを元銀行員の、真面目で温厚な、素敵な曲を作る方だと勝手に思ってたんですよ。全然違いますね(笑)。
小椋 そうですね。
テリー 例えば、国から紫綬褒章でしたっけ。
小椋 ああ、断りました。
テリー 普通はありがたくもらうのに、そんなもの冗談じゃないってね。そのへんのアナーキーさというか、もうすごいなと思って。これ、ほんとに人生の教本になりますよ。
小椋 これは自分で書いたんじゃなくて、こちら(小椋佳の事務所)に週1回、書き手の方がおいでになって、僕が数時間しゃべったことをまとめたものなんですよね。まぁ、思い出話です。やっぱり僕も若い頃、血気盛んだったですからね。
テリー 今は血気盛んじゃないんですか。
小椋 もう年ですからね。
テリー 今日も白装束みたいなのを着てますよね。
小椋 これは普段着です。7年ほど前に生前葬コンサートをやってから、ずっと死装束を着続けてるんですけど、なかなか死ねないですね。
テリー 7年前というのは70歳になった時ですよね。なんで生前葬をやろうと思ったんですか。
小椋 その段階で自分の音楽活動とか、いろんな意味で、そろそろケリを付けていいなと思ったんですね。体も弱ってきたし、もう年取ったっていうのを感じたんですよ。ほんとに生前葬コンサート終わって死ねたら、それで僕の人生完結と思ってたんです。
テリー 本に書いてますね。いつお迎えが来てもいいと思ってたって。
小椋 まだ来ないですね。
テリー アハハハハハ。そう簡単に来ませんよ。
小椋 だから1月に78歳になりました。
テリー 死ぬ死ぬ詐欺ですよね。
小椋 いや、ほんとですね。「最後のコンサートです」なんて言いながら、まだやってますからね。今ちょうどファイナルコンサートツアー中なんですね。三十数カ所ですかね、来年1月ぐらいまでやって。それが終わってもまだ生きてたらどうしようと思うんです。
テリー 詐欺でいいんですよ。大仁田厚みたいに。
小椋 加山雄三さん、すごいですね。84歳?
テリー 最近お会いしたことあります?
小椋 いや、ないですけど。
テリー この前僕、お会いしたんですよ。まだちょっと言葉が不自由ですけど、歌い出すとシャキッとするんです。
小椋 ああ、そうですか。すごい人ですね。僕もこんな調子だと80ぐらいまで生きちゃうかもしれない。
テリー いや、小椋さんはまだまだ大丈夫ですよ。で、詐欺呼ばわりされながら、また生前コンサート・パート2とかシーズン2とかやってください。
小椋 いやいや、もうね、そんな気力はないですよ。