3月末に行われたアカデミー賞授賞式に、米国コメディアンのクリス・ロックがプレゼンターとして出席し、壇上でウィル・スミスの妻、ジェイダ・ピンケット・スミスの坊主頭(脱毛症)について「ジェイダ、君の『G.I.ジェーン2』が待ちきれない」とジョークを口にした。会場では笑いが起こったものの、激怒したスミスが壇上に上がり、クリスにビンタを食らわせた。笑いの在り方にかかわる事件であったため、日本の芸人たちも気が気でならない様子だ。
爆笑問題の太田光は、スミスの暴力がよくなかったとこう話す。
「世界ではさ、プーチンが元コメディアンのゼレンスキーをガンガン殴ってる状態でさ。アカデミー賞では、それを反対しているって立場の奴がさ、やっぱりコメディアンを殴っちゃダメなんだよ。コメディアンがさ、いくら何を言おうが、それをブン殴って黙らせちゃダメだって話じゃん」
スミスの現場での対応策として、松本人志はこう指摘した。
「いつまでもこの話が続いてしまうことで、一番辛いのは奥さん。こんなことになるなら、あそこはウィル・スミスさん、スマートに終わらせて、後日、楽屋に行くのか、当事者だけで話し合うなり何なりやったほうがよかったということになってしまう」
ビートたけしも、おとなしい仕返しを提案している。
「一番いいのは、かみさんを連れてその場から出ていっちゃうっていうのが、アカデミーの協会に対しても、クリス・ロックに対しても一番の嫌がらせかなと思う」
もちろん、コメディアンとしてのクリスへの批判も噴出している。極楽とんぼの加藤浩次は、
「(笑いで)相手を傷つけるのはダメなんですよ。でも、ギリギリのところを攻めないといけないこともある。でも、ウィル・スミスさんが怒ったってことは、クリス・ロックの負けですよ」
と言い切った。
ケンドーコバヤシも、
「失敗したんやろ。ギリギリ踏み込むことがお笑いみたいなところあるけど、線を越えたんやろ。アイツのミスやろ。『ここまで言うたら笑いやけど、これ以上言うたらデヴィ夫人帰るぞ』みたいな。デヴィ夫人を帰らせたってことやろ」
と、ジャッジするのだった。
坂下ブーラン(さかした・ぶーらん)=筆名=:1969年生まれのTVディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティ番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発をめざし奮闘中。