「カネを引き出した男性は袋叩きにあっているのに、そもそもの原因を作った人物はなぜ無傷なの?」
山口県阿武町を舞台にした「4630万円の誤振り込み騒動」で、そんな疑問を抱く人は多いのではないか。
阿武町の担当者は、コロナ禍対策の臨時特別給付金を1世帯につき10万円、463世帯に振り込んだ。その上で、463世帯分の4630万円を、24歳の男性1人に、さらに振り込み──。
計らずも大金を振り込まれ、時の人となった男性は、阿武町からの返金要請を拒否。既にカネを別口座に移動させるなどして、使ってしまったとされている。
そもそも役場の担当者はいったい何をどうしたら、こんな手続きに及ぶのか。社会部記者がアキレ返る。
「1世帯10万円の手続きをしたにもかかわらず、どういうわけか4630万円もの合計額をさらに振り込み用紙に記入し、銀行の窓口に出す。こんなバカな行為は誰がどう考えても、単なる『ミス』の域を超えています。誤って振り込まれたものを返そうとしない男性はもちろん批判されてしかるべきですが、おおもとの原因を作った誤振り込み職員こそ、なぜそんなおかしなことをしたのか、全ての経緯をつまびらかに説明すべきでは。そこをうやむやにしたまま、役場は被害者ヅラを強調して、刑事事件になってない時点で、男性の実名公表にまで及んだ。これはやりすぎでしょう」
男性が誤振り込みされたカネを実際に使い切り、かつ、それで買ったという財産となるべきものが何もなければ、差し押さえもままならない。阿武町が男性に対して起こした民事訴訟で勝ったとしても、カネは返ってこない可能性が高いという。
「当たり前ですが、全ては税金です。誤振り込み職員と責任者は、住民の前で『損害』を与えたことを謝罪し、職員で全額弁済するぐらいの考えはないのか。そんな論争が起きることも考えられます」(地元関係者)
「誤った」という以外の説明なし、そしてあまりに不可解な「事件」であることから「職員と男性がグルとなって結託し、わざと誤振り込みする。そして、どこかに隠したカネをいずれ、山分けする」などという、あらぬ疑惑まで登場する始末なのだ。