やはり大半を占めるのは国会議員の給与だ。出所はもちろん、われわれ庶民が納めた税金である。17年間の議員秘書経験を持つ作家の朝倉秀雄氏が解説する。
「法律で定められた国会議員の給料は、月に129万4000円。また年間600万円強のボーナスがあり、合わせて年間2200万円程度になります」
国務大臣や総理大臣、両院の議長になれば、そこに上積みが加わるという。そして、さらにほとんどの国会議員に「第二、第三のサイフ」と呼ばれる追加の歳費が支払われている。議員全員が受け取れる「文書通信交通滞在費」と、衆参両院の会派所属議員に交付される「立法事務費」である。
「文通費は、月額100万円、立法事務費は月額65万円です。特殊なのは文通費で、これは一切の使途報告書や領収書が必要ないカネなんです。その名のとおり、電話や手紙、地方議員の上京費用などを名目にしたものですが、今は電話もそんなに料金がかかるわけでなし、交通費にしてもグリーン車や飛行機代は支給されるため二重取り状態になっています。立法事務費は議員個人ではなく会派に支払われるため、所属会派によって全額支払われたり、いくらかを会派に納めなければいけないところもあります」(朝倉氏)
税金が原資でありながら、使途の報告義務がない文通費はかねてから問題視されてきた。政治とカネの問題に詳しい、日本大学法学部の岩渕美克教授は、
「議員1人当たり年1200万円の文通費は、情報公開のこの時代にまったくそぐわない制度です」
と厳しく批判。有馬氏も、
「個人的には、文通費は実費精算にすべきだと考えています」
と異を唱える。しかし、議員が自由にできるおいしいカネだけに、改正の声は聞こえてこない。
「東日本大震災の影響で議員歳費が2割カットになった時も、文通費はアンタッチャブルでした。月々の給料は税金や議員連盟の会費などが天引きになるため、無税の文通費のほうがメイン給料と言ってもいい。いわば、国会議員にとっての“聖域”なんです。特に派閥形成が重要な自民党内では、配下の議員などに渡す数百万円の“氷代”“モチ代”に充てている可能性もあります」(朝倉氏)
文通費の総額は年間約85億円。税金が政治家の巨額の“お小遣い”になってはならない。