NHK朝の連続テレビ小説「ちむどんどん」が、大論争を起こしつつも無事に終了し、「舞いあがれ!」がスタートした。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は佳境を迎えつつあり、次の「どうする家康」も撮影は順調。来年はなにかと「近世」が注目の的となりそうな気配なのだ。ドラマライターが解説する。
「フジテレビ系で何度となくドラマ化されたのは、『大奥』シリーズ。徳川幕府の将軍たちを軸に、正室と側室の確執や跡目争いなど、春日局が基盤を作ったとされる大奥の中枢を赤裸々に描いて、人気を博しました」
NHKでは来年1月からも、よしながふみ原作の同名コミック「大奥」が、長期で連ドラ化される。ただ同作は、すでに映画化(10年、12年)とTBS系でドラマ化(12年)もされているため、なぜ再び…という疑念も沸いてくるのだが、
「疫病を発端として男性と女性を逆転して描いている、という点です。ジェンダー問題や疫病に対する国策など、まさに現代に通じる問題を改めて提示していきたい、ということのようです。大河と併せて見ると、より面白みが増しそうですね」(前出・ドラマライター)
注目したいのが、キャスト陣だ。シリーズ化の第一弾で徳川家光(の身代わり)に扮するのは、堀田真由。家光は史実においては男色家で、側室として迎えた公家僧・万里小路有功(のちの、お万の方)には、女性であることを感じさせない凛々しい剃髪姿にひと目惚れしたのではないか、とも語られている。
コミック版では、春日局の策略で大奥へと入ることになるが、その万里小路有功に抜擢されたのが、福士蒼汰だ。史実でも、まるで美少年のような顔立ちとされているが、顔の綺麗さでは群を抜く福士がドラマに華を添えるのは、想像に難くない。
その福士にはいろいろな意味で期待したい、と芸能ライターは言う。
「演技経験が乏しくても、見た目と若さとパワーでなんとか乗り切れた、少女漫画の『高校イチのモテ男』役などを完全に卒業し、ここ数年は彼にとって、次のステップへと上がる迷いの多い時期だったはず。ドラマでのダークヒーロー役や、映画『ザ・ファブル』(19年)や『カイジ ファイナルゲーム』(20年)など、好青年ぶりを覆す、振り切った役も果敢に演じていました。舞台にも挑戦していますが、得意な英語力を生かすなど、単なるイケメン俳優のレッテルを剥がして『実力派俳優』という看板を背負えるようになれるか」
今どきはジャニーズ俳優でさえ、貪るような濃厚キスに加え、過激なカラミにも挑んでいる。演技とはいえ、床上手な一面を見れば、新たなファン層を開拓できそう。はたしてBLもの、トランスジェンダー役などもイケるか。今回の作品を含むここ数年が、俳優人生の大きな勝負時となりそうな予感だ。
(島花鈴)