芸人が暴言を受けると、笑いで返してしまいそうな気がするが、意外とショックを受けてしまうことが多いようだ。
ケンドーコバヤシは、高価なアンティークバイクを盗まれて落ち込んでいた時に、周囲の多くはやさしかったという。
「大事にしてたバイクで、けっこう改造も自分なりにしてね。お金もかけてて。で、みんなは『大変ですね』とか、後輩なんか、ちょうどツイッターが始まったころやから、『写真とかあったらくださいよ。見た人に連絡くださいみたいなのやってみましょうか』って言うてくれて」
周囲の温かさに触れ、感動していたのもつかの間、千原せいじがニヤニヤしながら現れたのだという。せいじは開口一番、大笑いしながらこう言い放った。
「おい、お前、聞いたぞ。今ごろ、バラバラにされて海外やな!」
この暴言に当然ながらケンコバは落ち込んだ。
「せいじさん、めちゃくちゃやな…」
ところが、暴言はこれで終わらなかった。今度は千原ジュニアがやって来たのだ。ケンコバが振り返る。
「その時、番組の収録で衣装を着させてもらってたんですけど、たまたま(スクーターの)ベスパの刺繍が入ったニットみたいなのを着てて。ほんならジュニアさんが『バイク盗まれて、ぽっかり開いた穴、ベスパで埋まってるやん。良かったな』って。『この兄弟、コラァッ!』ってなるでしょ。『千原兄弟って二枚刃やな』って思いましたよ」
そんなケンコバ同様、暴言の被害者となったのが爆笑問題・太田光だ。つい先日、太田の自宅の入り口に生卵が投げつけられるという「事件」が起きた。10月3日、太田の妻で事務所社長の太田光代氏が、ツイッターで、「許しません!だれ?」と怒りをぶちまけたものだ。
これに対して明石家さんまが発言したのだが、励ますコメントが並ぶかと思いきや、まさかの暴言に太田は腰を抜かしてしまった。太田はこう語っている。
「さんまさんがさ、『あれ、犯人まだわかってないんやろ?』とかって。『大変やなあ』って心配してくれて、嬉しいなって思って。そしたら『あれな、絶対に太田の仕業やと思うねん』って。『カミさん、驚くやろな。防犯カメラチェックして、自分のダンナが生卵を投げてたら』って、もう勘弁してくれよって」
さんまに千原兄弟、いずれも傷口に塩を塗るような、だが、どこか憎めない暴言なのだった。
(坂下ブーラン)
1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。