かつて「マルマルモリモリ」を歌っていた芦田愛菜と鈴木福、小学生ユニット「スターフラワー」の谷花音と鈴木星蘭、フィギュアスケート選手としても活躍する本田望結が今年、成人式を迎える。
昭和生まれが抱く「子役」のイメージは、どちらかというとネガティブだ。坂上忍や宮脇健、杉田かおるは大人になってから、幼少時代の家庭崩壊をカミングアウトアウト、親が作った莫大な借金を返済するために働かなければならなかった、と回想している。
それに対し、平成生まれの「子役」のイメージは、ポジティブそのもの。芦田の祖父、父ともに東大出身のエリートで、芦田本人も「リケジョ」を目指し、3年後期の定期試験に向けて勉強中だ。
鈴木福は音楽家一族に生まれ、谷は昨年まで語学留学のため渡米。本田は姉の本田真凜ら兄妹4人でフィギュアスケートの国際大会を転戦し、実家は年商20億円超。京都府内に日本庭園を有する豪邸に住まう、ケタ違いのお金持ちだ。いずれも「生まれながらに持っている」子供たちなのである。我が子に子役オーディションを受けさせたことがある芸能記者が言う。
「今は子役の出演料をアテにするような毒親は存在しません。子役が所属する劇団では、首の座っていない月齢から赤ちゃんモデルを募集していますが、劇団に入るには40万円以上の入学金を即決キャッシュで支払わねばなりません。レッスン代は毎月10万円から20万円、日本舞踊から体操、ダンス、英会話までバラエティーに富んだレッスンが、ほぼ毎日あります。専業主婦、あるいは両親が共働きでも、ベビーシッターを雇えるような家庭でないと、子役にさせるのは無理なのです。入団オーディションで入学金とレッスン料の説明があると、子供をモデルにして金を稼がせようと思っている毒親がサーッと消えますね」
そうした毒親はお金をもらえるのでなく、お金を払わねばならないと聞いた途端に、ハイハイしていた子供をサッと小脇に抱え、逃げ足が早い。残った親子は皆、我が子のために年間数百万円を投資できる富裕層。その中からカメラテストや親子面接を経て「持っている子供」が選抜クラスに選ばれるという。芸能記者が続けて明かす。
「赤ちゃんの頃からズバ抜けた美形で目を引く子や、業界人のお子さんは選抜クラスの中でも特別扱いされ、レッスン料が免除されることもありますが、最初の入学金は免除されません」
お金がかかるのは、レッスン料だけではない。NHKの子供番組への出演が決まると、
「両親あるいは祖父母が財力にモノを言わせ、劇団が制作した、赤ん坊がハイハイしているだけの子供番組出演ビデオを何十本単位でお買い上げします。宝塚歌劇団は愛娘が出演する舞台のチケットを何枚捌けるか、親の経済力がキャスティングに多少なりとも影響すると聞きますが、子役の世界も同様で、出演番組のソフトを何本買えるか、実家の『太さ』と『購買力』によって劇団への売り込みも、オーディションの合否も変わってきます。もちろん、子供自身に演技力や、大人が求めているものを察する理解力とカンの良さ、運動神経が備わっていないと話になりませんが」(前出・芸能記者)
子役が様変わりしたのは、01年生まれの加藤清史郎のブレイクがきっかけだ。加藤も中学卒業後、ロンドンのボーディングスクールに3年間、留学。子役ブームが到来し、富裕層が我が子の可愛い姿を映像に残そうとオーディションを受ける、という子役ビジネスモデルが確立した。
さて今年はどんな「持っている」子役がブレイクするのか。そして芦田の内部進学が決まったら、ひと足先に同じ大学への推薦入学が決まった鈴木福と、学園祭で12年ぶりのマルモリを披露するかもしれない。