1月10日、日米両国で「トレイ・ヒルマン」の名前が報道された。日本では、北海道日本ハムファイターズとのコンサルタント契約が伝えられ、ほぼ同時間帯に米国のメディアが別の内容でその名前を報じていた。言わずもがな、03年から07年にかけて日本ハムの監督として指揮を執り、日本一にも導いた人物だ。勝利インタビューでの「シンジラレナ~イ」は、一種の名言として記憶に残っている。
「エンゼルスが前オリオールズのブレット・フィリップス外野手と契約しました。フィリップスはヒルマン氏の義理の息子にあたります。契約内容は1年120万ドル(約1億6200万円)と小粒。MLBの平均年俸が約440万ドル(約5億5000万円)なので、マイナースタートになるのでは」(在米ジャーナリスト)
そのフィリップスを紹介するうえで、エンゼルスで育成コーチだったヒルマン氏との関係に触れられたのだ。しかし、そのヒルマン氏がNPBの日本ハムとコンサルタント契約を結んだことは、米メディアでは報じられていないようだ。
ヒルマン氏は今季、エンゼルスの育成コーチとして、マイナーの若手を指導していた。表舞台に出ることもなかったからだろう。“フィリップスの義父”としてだが、米メディアで名前が取り上げられたのは久しぶりのことだという。しかし“縁の下の力持ち”に徹した姿勢が今回の日本ハムとの契約につながったようだ。
「日本ハムは清宮を始め、これからの選手が多い。彼らの成績が安定せず、成長過程にある若手を教えていくために意見を仰ぎ、直接アドバイスをしてもらう予定」(球界関係者)
ヒルマン氏は春季キャンプにも参加し、外国人選手、コーチ陣への定期カウンセリングなどを行う。今後、新外国人選手のスカウティングにも携わっていくが、コロナ禍の影響だろう。どの球団でも家族と離れて暮らす外国人選手のメンタルケアが重視されるようになった。
「ヒルマン氏は2017年から2年間、韓国・SKワイバーンズの監督を務めました。18年はプレーオフで優勝に導き、残留を要請されたものの、米国に残してきた家族の病気を理由に退団しました。新外国人選手の気持ちもわかってくれるはず」(前出・球界関係者)
新庄剛志監督、稲葉篤紀GMは「ヒルマン監督」のもとでプレーしている。勝敗の責任を負う2人のメンタルケアも担当するのではないだろうか。
(飯山満/スポーツライター)