月刊「文藝春秋」が報じた日本ハム・新庄剛志監督の「過去の薬物陽性報道」に、球界関係者からは「また日本ハムか」との声が上がっている。
シーズン中の監督に関わる「騒動」は、97年に当時の上田利治監督に関して、家族の統一教会問題が週刊誌で報じられ、監督休養の騒ぎに発展したことがあるからだ。
1997年、日本ハムはオリックスと激しい優勝争いを繰り広げていた。その渦中、週刊誌が報じたのは、上田監督の家族の「統一教会での活動」に関する報道だった。これを受けて上田監督は一時休養し、日本ハムは優勝を逃してしまう。
当時、セ・リーグ球団のさるコーチは、
「シーズンオフに報道すればいいことを、なぜシーズン中、優勝争いをしている時に報じるのか。記事は報道に値する内容とはいえ、タイミングがおかしい」
と猛烈に批判していた。これは当時、多くの球界関係者が感じていたことでもあった。
そして今回の新庄監督の薬物陽性騒動。記事を書いたジャーナリストの鷲田康氏は「文春オンライン」で6月10日、「新庄監督の薬物問題をなぜ報じたのか」という記事を掲載し、次のように記した。
「薬物問題を報じた最大の理由は、(新庄氏が)今シーズンから日本ハムの監督としてグラウンドに立つことになったからだ。指導者として、監督として、球界に戻るのであれば、ドーピング違反というスポーツパーソンとしての根幹にかかわる問題は、時が経っても決して見過ごしてはならないし、できない問題のはずである」
だが、なぜシーズン中なのか、という疑問は残る。
日本ハムは不動産会社「エスコン」と組み、北海道北広島市に新球場「エスコンフィールド北海道」を建設中だ。球場に近接して分譲マンション、商業施設も建設予定で、エスコン関係者は昨夏頃から「日本ハムの監督は、新庄氏のように集客力のある人がよい」と考えていたとの証言もある。
新庄監督就任の裏に大スポンサーの意向があったかどうかは微妙だが、シーズン中の監督の騒動は2度目だけに、日本ハムは今回こそ、うまく対処したいところだろう。
(健田ミナミ)