毎週水曜に放送中の連続ドラマ「リバーサルオーケストラ」(日本テレビ系)で、主演の田中圭はオーケストラのマエストロ(指揮者)役という初の試みに奮闘している。綾野剛もまた、主演の連ドラ「コウノドリ」シリーズ(TBS系)で、産婦人科医兼ピアニストという役で、自らピアノを弾いたことが大きな反響を呼んだ。
これらクラシック音楽をメイン、もしくはサブテーマとしたドラマに彼らが抜擢されることの理由のひとつに、2人が所属する事務所のピアニスト・清塚信也の存在がある、と話すのは音楽ライターだ。
「彼はピアニストでありつつ、映画『さよならドビュッシー』(13年)など、俳優としても活躍中。先の『コウノドリ』にも出演していました。恵まれた容姿に加えて、軽妙なトークも抜群にうまいため、様々なメディアで重宝される。19年からスタートした『クラシックTV』(NHK Eテレ)ではMCを務めていますが、昨年も『キヨヅカライザー~音楽考察バラエティ~』(テレビ朝日系)など、地上波でも冠番組が増える一方で、ゲスト出演も途切れません」
例えば「クラシックTV』は、毎回のゲストが多彩なのが特色のひとつ。遠藤憲一やぺこぱ、羽生結弦といった感じだ。
「プロの音楽家ではない人たちからも、清塚が巧みに話を引き出し、高尚な教養番組になりがちなところに笑いやユーモアを盛り込む。その上で、モーツァルトやベートーベンなど、歴史に名を残している音楽家をかみ砕いて分かりやすく紹介し、人気を博しています」(前出・音楽ライター)
コロナ禍は音楽シーンにおいても画期的な変化をもたらしたと、テレビ関係者は言う。
「一般人が『歌ってみました』『弾いてみました』などと銘打ち、動画サイトにアップしたものが爆発的な再生回数を記録。瞬く間に人気者になるケースが多々、見受けられました。YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』なども、コロナ禍だからこそヒットコンテンツとなりえたと言っていいでしょう」
有観客でのライブパフォーマンスやコンサートなどが相次いで中止や延期となる状況が続いたが、クラシックを含め、コロナ終息後の音楽界が世界に羽ばたいていける下地作りの期間だったと、前向きに捉えたい。
(島花鈴)