阪神の矢野燿大前監督が、阪神OB会長でもある川藤幸三氏の公式YouTubeチャンネル「川藤部屋」にゲスト出演し、「あの疑惑」についてあらためて否定したことが波紋を広げている。
動画の中で、川藤氏の質問に答える形で矢野前監督が「悔しかったこと」として挙げたのが、2021年7月、神宮球場でのヤクルト戦で起きた「サイン盗み疑惑」だ。周知のようにこの「事件」は、二塁走者の近本光司の左手の動きが不自然だとして村上宗隆らが「サイン盗み」を指摘したことで大騒動に発展した。矢野前監督も高津臣吾監督と口論になり、球審が思わず2人の間に分けて入ったほど一触即発の事態だった。
阪神の「サイン盗み疑惑」は昨シーズンにも起きたのだが、矢野前監督が特に悔しいと振り返ったのはこの時のようだ。
矢野前監督は騒動の翌日に高津監督と話し合いの場を持ち、「絶対やってない。やってたら永久追放でも何でもしてくれ」と潔白を訴えたという。
ただ、動画で矢野前監督が、「そういう風(サイン盗み)に思われる動きがあったのもゼロじゃないと思う」と前置きして語ったことで、波紋が広がってしまった。当時を知る球界関係者が言う。
「村上らヤクルトベンチも何らかの異変を察知したから声を荒らげたわけで、実は矢野前監督だけが加担しておらず、首脳陣と選手が結託してサイン盗みをしていたのでは、という可能性を指摘する声もあるんです。さらに、今回の矢野前監督による『ゼロじゃない』発言が疑惑をよりクロにした、と話す関係者もいますね」
今回の「サイン盗み」に白黒の決定的な証拠はない。いつになっても「疑惑」がつきまとってしまうことが、矢野前監督にとって、もっとも「悔しいこと」なのかもしれない。