22年10月に福島刑務所から出所した、薬物依存症患者の田代まさし。出たり入ったりを繰り返しながらも、人を楽しませようと「刑務所ネタ」をため込んでいる。
「薬物で捕まって刑務所にいるのに『ダメ。ゼッタイ。』のポスター(薬物の使用防止目的)が貼ってあるの。ここにいるヤツはみんな、わかっているからね」
「ヤクザの親分と一緒に薬物をやめようと誓うが、指切りをしようとしたら、すでに小指がなかった」
「刑務所内での映画観賞会で『ショーシャンクの空に』が流され、いやいやそれ脱獄する話じゃん!」
「運動会の綱引き競技では、『お縄になったヤツらが綱を引きあってるよ』」
…等々、こんな感じで自虐的にネタを繰り出し続けているのだ。
さらに、こんなことも語っていた。田代は一時代を築いた芸能人だっただけに、刑務所では超有名人。ある日、顔見知りの受刑者から「知ってる? この刑務所に田代まさしがいるんだよ」と話しかけられ「いやいや、俺!」と答えたが、「またまた!」と取り合ってもらえなかったというのだ。
「確かに坊主頭だし、ヒゲも剃ってるし。でも『俺、そんなに変わっちゃったんだ』って、ちょっとショックだったんだよ」
そう言って、寂しそうに振り返るのだった。
(坂下ブーラン)
1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。