テリー 「インベスターZ」という作品も連載中ですが、これは中学生が株や投資を学んで、自分たちの学園資金を運営していくというお話ですよね。これはどういう着想から?
三田 これはですね、「砂の栄冠」の取材で私学の野球の強豪校に取材に行ったんです。その夜に監督さんと部長さんと食事をした際に、学校経営の難しさについて耳にしたんですね。翌日、新幹線で東京に帰ってくる途中、どうやったら私立学校の経営が安定して、なおかつ子供の学費をタダにできるのかなと、フッと考えたんです。その時、学校の創立者が最初に資金を提供して、それを運用して、その利回りで学校経営をすればいいんじゃないかと思いついて。
テリー 元金をうまく使うっていうことですね。
三田 そういうことですね。そういう学校を設定して、でも、大人がやってもつまらない。子供の主人公にやらせようと。それを編集者に話したら、ぜひやりたいということで。
テリー お金が主題の漫画を描いてる三田さんから見ると、今の日本というのはどのように感じますか。
三田 僕もこの「インベスターZ」を描いて、いろんな発見をしたんです。日本の経済って、得意分野がすごくあるんですね。一例をあげると、微生物の分野がすごく強いらしいんです。例えばキッコーマンやヤクルト、味の素といった企業は、世界でダントツ、ぶっちぎりで先頭を走ってるんです。ダノンやネスレといった世界最大手の会社も、実は追いつけなくて、完全に諦めて手を出さないと決めた分野があるぐらいだそうです。こういう話って、専門家に聞いて初めて知ることなんですよね。
テリー 僕も知らなかったです。
三田 だから、そういう隠れた優秀な分野をもう少し整理して、理解をして、国がしっかり投資をすれば、日本がもっと勝てるわけです。そういうのがいくつか出てくれば、日本がもっとよくなるということを、「インベスターZ」を通して世の中に知ってもらえたらいいなと思っています。
テリー なるほどねえ。他には、性の問題はどうですか。最近の高校生のセックスって、あまりよく知らないんだけど。
三田 残念ながら、漫画はそっちからだんだん離れる方向です。少年漫画はいちばん規制が厳しいです。若い作家さんと話をすると、もう女性のヌードが描けないという人が多い。そうなると作家が育たないし、作品すら出てこないので、衰退せざるをえないジャンルになってますね。
テリー そうなんだ。三田さんが、今後テーマにしていきたいものは何ですか。
三田 いずれは歴史ものにもチャレンジしたいと思いますし、あとは組織のリーダー論にも興味があって、会社でも何でもいいんですが、リーダーをどうキャラクターとして作っていくかというのを考えていますね。
テリー 楽しみにしています。
◆テリーからひと言
自身の作品を「売る」ところまで、ご自身で考えて描く三田さんはすごい。売れないグラビアアイドルが、マネジャーと協力しながら芸能界で成功していくストーリーはどうですか。