人身事故が頻発し、「飛び込み自死の名所」などという不名誉な称号を与えられていたJR東日本の新小岩駅(東京都葛飾区)。そのイメージが定着したのは2011年に起きた事故がきっかけだった。
同駅を通過中の成田エクスプレスに女性が飛び込んだところ、跳ね飛ばされてホーム上の売店に突入。店にいた客が巻き添えになり怪我を負ったのだ。これをニュースが取り上げ、その後も飛び込みが相次いだ。
ところが近年、そうした事故の話は聞かなくなった。
「実際、事故は減っているようです。去年は3件で、8件もあった11年に比べれば確実に減っています」(鉄道ライター)
なぜ減ったのか。事態を重く見たJR東日本は、ホームに警備員を通常よりも多く配置。さらにホーム上のベンチを線路と垂直にして突発的に飛び込むのを防いだり、心を落ち着かせるとされる青いライトを採用するなど防止に力を注いだ。
決定打となったのが18年12月に使用が開始されたホームドア。当初は20年度までに設置する予定だったが、利用者の要望を受けて前倒しされ、他の総武線の駅に先駆けて快速線ホームに設置。大きな抑止となった。
「その後、コロナ禍でテレワークが進んだことで乗客が減り、事故も減少しました。乗客は戻ってきていますが、このまま増えずにいてほしいものです」(前出・鉄道ライター)
「飛び込み自死の名所」などという悪評が人々の記憶から消えてくれるといいのだが。