テリー だから寛斎さんは日本を越えて、表現する場所を世界中に広げているわけですよね。イベントのプロデュースもずっと続けておられますけど、10月にトルコでファッションイベントを開催されるそうですね。どうしてトルコを選ばれたんですか。
寛斎 ちょうど今から約1年前に、とある企業の会長が「寛斎さん、オリンピックが東京になるか、イスタンブールになるか今はまだ決まっていませんが、あれだけの親日国家はないので、もし東京に決まったらトルコの人々に寛斎さんのスーパーショーをプレゼントしたらどうだろう」とおっしゃったのがきっかけです。それじゃあということで、去年、ロンドンでショーを開催したあとにイスタンブールに行ったんです。それに、今年は日本とトルコの外交関係が樹立されて90周年という節目もあって、開催が決まりました。
テリー なるほど。どういうショーを予定しているんですか。
寛斎 10月11日に予定しているんですが、その1週間前からは、日本の大漁旗をたくさん付けた船を3隻イスタンブール市からお借りして、ヨーロッパ側とアジア側をつなぐボスポラス海峡を1日に何回も往復させるんです。日本の原色の旗がてんこ盛りの船が青い海峡に浮かぶ。そうすると「あれは何だ?」ということになる、と。
テリー それで当日まで、イベントを盛り上げていくんですね。大漁旗というのは、寛斎さんが実際に作られたものを掲げるんですか?
寛斎 質問が鋭い(笑)。旗は、4種類のものを使うんです。みんな本物のものなんですが、一つは、漁師のもの。もう一つは、毎年、日本の子供たちがコンテストで作った大漁旗。それから、トルコの子供たちが東日本大震災の時に「日本の子供たちへ」ということで、お見舞いにくれたものなどです。
テリー なるほど。どんな大漁旗なのかな。見てみたい。ファッションショー自体は、どんな演出を考えておられるんですか。
寛斎 ふだんはファッションショーというのは1フロアで行われるんですが、今回は同時に2フロアで行うことに挑戦するんです。2フロアを使うということは、世界的にはまだ例がないんですよ。
テリー ということは、お客さんは1階と2階にいるっていうことですか。
寛斎 そうです。私のショー演出は不思議なことをやっておりまして、私は黒子で登場するんです。これは歌舞伎とか浄瑠璃の黒子とほぼ一緒なんですが、ショーの進行の中で間が空いた時に声を出す等々の、世界に類のないことをやっています。私は年とともにだんだん声量が減っているので、アシスタントとして合計8人ぐらいの若い黒子が2層に分かれ、進行を手伝っていくというやり方ですね。