昨今、グルメに家電に雑貨、音楽と昭和・平成レトロブームが到来している。技術が進化したデジタルの時代に、使い勝手が悪く、不完全なアナログ商品が話題を呼び、次々と懐かしの商品が復刻している。エンタメ誌ライターが語る。
「最近では『マクドナルド』が平成時代に販売していた『たまごダブル』などを復活させたのが話題になりましたが、飲食業界では昭和・平成レトロブームが到来していて、『松屋』は平成レトロメニューとしてかつて販売していた人気商品を復刻し、『サンマルクカフェ』では昭和レトロを意識したナポリタンやクリームソーダを発売しています。また、飲食に限らず『タイガー魔法瓶』は創立100周年のレトロ柄復刻シリーズを販売すると大評判で、老舗ガラス食器の『アデリア』が販売するグラスなどのレトロシリーズは女性たちから大人気となっているのです」
他にも横丁や銭湯などのレトロスポットやシティポップといった80年代の音楽、平成に一大ブームを巻き起こした使い捨てカメラ「写ルンです」にも改めて脚光が当たっている。昭和レトロブームは2000年代初頭からはじまったとされているが、昨年頃からは昭和に加えて平成も再評価されるようになっており、新たにブームを牽引しているのはZ世代と呼ばれる若者たちなのだ。
「以前までの昭和レトロブームは昭和生まれの人たちが自分の青春時代などを懐かしむためのものでしたが、今では10代や20代の若者たちが昭和や平成の色彩豊かで枠にはまらない表現のアイテムにエモさを感じて支持しているのです。なぜZ世代がレトロにハマったかといえば、サブスクリプションの影響が大きいでしょう。動画配信サービスや音楽配信サービスでは古い時代の作品も見放題・聴き放題ですから。昔の作品に触れた若者たちが新たな感性で、古臭いだけではない魅力を感じ取っているのです」(フリージャーナリスト)
今後もしばらくはレトロブームが続きそうだ。
(小林洋三)