コロナ禍の勝ち組と言われ新規参入が相次いでいた「焼肉店」の倒産が急増していると「帝国データバンク」が明らかにした。倒産数は1~8月までで昨年同期比でおよそ3倍になっているという。焼肉店以外にもハンバーガー店や唐揚げ店の倒産も相次ぎ、コロナ禍に躍進した業態がアフターコロナでは苦戦を強いられている。経済誌ライターが説明する。
「今年1~8月の焼肉店の倒産件数は16件となり、過去10年では2006年の17件に次いで2番目に多い数字となっています。焼肉店はコロナ禍において、換気がよく三密が避けられることから利用者が急増。居酒屋チェーン大手のワタミはグループのおよそ3割にあたる120店舗を焼肉店に業態転換するなど新規参入も相次ぎ、『外食業界の勝ち組』ともてはやされていました。しかし、ここにきて異変が起きているようなのです」
倒産が急増しているのは焼肉店だけではない。ハンバーガー店も20年にはわずか1件だったのが21年には6件と6倍に。また、一大ブームを巻き起こした唐揚げ店も今年1~6月の倒産件数は9となり、前年同期の3件から3倍となるなど過去最多を更新している。これらもコロナ禍に人気を博していた業態だ。
「焼肉店、ハンバーガー店、唐揚げ店の倒産が増えている理由は2つあります。1つはブームの最中に新規参入が相次いだことで、競争が激化したことが挙げられます。特に大手が参入し相次いで店舗を展開していたことから、中小で体力のないところは淘汰される運命にあったのではないでしょうか。もう1つの理由は、ブームが加熱しすぎて単に飽きられてしまったことにある。コロナ禍では焼肉、ハンバーガー、焼き鳥をこれまでの人生の中で一番食べたという人も少なくないでしょう。もちろん集中して食べれば食べるほど飽きがくるのも早いということです」(前出・経済誌ライター)
飲食業界のみならず、キャンプやペットなどコロナ禍に一気にブームとなった業界は、厳しい状況が続くかもしれない。
(小林洋三)