ミナミと並ぶ大阪の繁華街「キタ」。JR大阪駅や梅田駅を中心としたエリアの総称で、観光客が多いミナミに比べると、地元のサラリーマンや出張客が飲みに来る場所である。
主な歓楽街は、高級クラブやラウンジが密集する北新地、リーズナブルな飲み屋が集まる東通り商店街。東通り商店街は東京でたとえれば新橋のような、いわゆる「オヤジの街」だったが、ここ最近、オヤジの姿が消えつつある。
商店街を歩くと目にするのは、ピンクや紫など蛍光色のネオンにハングル文字。焼き鳥屋や大衆居酒屋が身を潜め、今では東京・新大久保にあるような、韓国風居酒屋が乱立している(写真)。
通りが大きく変わったのは、2年ほど前。緊急事態宣言により、酒類を提供する飲食店が時短営業になった頃だ。
商店街の居酒屋は軒並み閉店し、流行りの韓国風居酒屋が続々とオープンした。コロナ禍の影響でサラリーマンが飲み歩かなくなる一方で、若者達が梅田に集まるようになった。
その頃、ミナミはコロナの感染源だと名指しされてしまい、独自の休業要請によって、飲食店は軒並みクローズしていた。
だが、梅田の飲食店なら営業しているとの噂を呼び、以降、すっかり若者の街と化してしまったのだ。今では「オヤジの街」の面影すら、見当たらない。この状況に頭を抱えるのは、東通り商店街周辺のガールズバーなどだ。店員の女性が不満をブチまける。
「遊び方を知らない若者があまりにも多いですね。うちは普通のバーですが、ダーツ目的で入ってきた4人組大学生のうち、1人しか注文しないことがありました。そのクセ、女の子が喋らないと不機嫌になることも。女の子と喋りたいのであれば、ドリンクの一杯くらいご馳走するのが普通ですよね」
とあるキャバ店からは、こんな声も。
「ウチは30代から40代のキャストが勤務する、いわゆる熟系の店なのですが、若者客が増えて、マナーがなっていないと感じることがあります。『ババア』と揶揄されるのは別に慣れっこですが、中にはお酒のコールや一気をする若者客も…。常連さんの迷惑にならないか、心配です」
今までオヤジ客を相手にしていた夜の店の女の子たちは、常識のない若者客の行動に、すっかり困惑しているのだった。
(カワノアユミ)