今年デビュー45周年を迎えるサザンオールスターズが騒々しい。9月18日に配信された新曲「Relay~杜の詩」では、音楽家の故・坂本龍一さんの思いを受け止める形で、歌詞でやんわりと「神宮外苑の再開発」を批判した。そのためNHK、東京新聞、日本テレビ「news zero」で取り上げられ、作詞者の桑田佳祐が「リベラルの神様」に祭り上げられてしまった。
そして実は、もうひとつの話題がある。桑田のラジオ番組や昨年のソロライブのスポンサーが「SOMPOグループ」であることだ。「ビッグモーター」との不正取り引きをめぐって、金融庁が立ち入り検査を行った「損害保険ジャパン」が属する企業グループである。
桑田はあざとくリベラル派の片棒を担ぐタイプではない。歌詞も「思い出が多い、美しい杜が消えてしまって本当にいいの」という内容だが、それでも「神」にされてしまうのは、サザンオールスターズが、桑田自身が制御できないほど、ビッグバンドになってしまったからだ。
桑田が「社会派ロッカー」を追求するなら、自身のスポンサーでもある「SOMPOグループ」に対しても、あるいはその発端である「ビッグモーター問題」にも舌鋒鋭く突っ込むだろうが、
「そこまでは行動しないことが、桑田流のバランス。サザンが国民的バンドになった秘訣でしょう」
とスポーツ紙デスクは話す。
「Relay~杜の詩」にはテレビ局も神経質になっているようで、
「神宮外苑再開発の事業者は、三井不動産や伊藤忠商事など。これら事業者がスポンサーの場合は、サザンの楽曲使用や出演は慎重になる」
というテレビ局関係者のコメントがある。この歌をCMに使っている「ユニクロ」は高評価を得ているが、三井不動産などと同じスポンサー番組でそのCMを流しては失礼だろう。
サザンは今月末に、ホームグラウンドというべき茅ケ崎公園野球場で野外ライブを実施し、全国の映画館でライブビューを行う。全てこの前宣伝とすれば、実に大きな花火だ。
(健田ミナミ)