ジャニー喜多川氏による前代未聞の性犯罪が明るみになり、ジャニーズ事務所の対応に批判の声が殺到する中、「所属タレントに罪はない」としながらも、大手企業のCMやテレビ番組でジャニーズタレント起用を見合わせる動きが続いている。
これまでさんざんジャニーズに儲けさせてもらったくせに、あまりにもわかりやすい手のひら返しにドン引き。事情はわかるが、なんだかねぇ。ジャニーズを極力排除しようとする最近の企業やテレビに対し、むしろ不信感が沸く。
さて、10月3日の「news every.」(日本テレビ系)でのこと。開始して間もなく、お天気コーナーで藤井貴彦アナウンサーが突然、こう切り出した。
「乾燥した空気というのは、湿度が50%を切った時に表現されるということなんですが、昨日、あの、岡田准一さんのニュースをお伝えしている時に、喉が急にイガイガしてしまいまして、咳込む直前だったんで、それを横で見ていた徳島(えりかアナ)さんがナイスフォローしてくれて、その先を読んでくれました」
さらにはこう言って、頭を下げたのである。
「岡田准一さんの役者ぶりとかね、パフォーマンスには本当にリスペクトしているんですけども、喉がイガイガしてしまったということで、大変失礼いたしました」
咳込みそうになって原稿が読めなかっただけで、なぜここまで謝るんだ…と訝しく思ったが、これにはワケがあった。その前日のことだ。
ジャニーズ事務所の2回目の記者会見が行われたこの日。その内容を中心に報じる中で、すでに一部メディアによる「岡田准一、ジャニーズ事務所を退所」の速報を受けて、岡田の写真が映し出された。藤井アナが岡田のコメントを読んでいたのだが、その声が徐々に震え出し、咳払いの音が聞こえたかと思うと、途中からとなりの徳島アナが読むことに。そのまま番組は特にスタジオの場面を映すこともなく、次のコーナーの案内からCMへと移った。
ただこれだけのことなのだが、一部メディアが「藤井アナ号泣」「岡田准一の退所に声を詰まらせ」「涙」と報道し、SNSで大いに話題になったのだった。号泣する場面も、涙を流しているところも映っていないのに、だ。報じたメディアもメディアだが、確かめもしないで騒ぎ立てるネット民の想像力の逞しさ(あるいは欠如)たるや。
そうそう。10月3日の放送でお詫びの後、藤井アナは、
「『号泣した』とネットニュースに書いてあったのですが、『号泣』というのは『大声を上げて泣くこと』ですので、え~、泣いていませんでした」
そう言って、また頭を下げた。岡田ファンで号泣したと疑われるのが、よっぽど嫌だったとみえる。
(堀江南)