警視庁は今年1月から9月に東京・歌舞伎町の路上で「客待ち」をしたとして、20歳から46歳の女性80人を売春防止法違反の疑いで現行犯逮捕したと、10月3日に公表した。歌舞伎町の大久保公園周辺で2019年頃から日本人女性の立ちんぼが増加しており、メディアでも幾度となく問題視されている。
警視庁は近隣住民からのクレームを受けて、立ちんぼへの取締りを強化。9月中だけで35人を現行犯逮捕した。
客待ちの目的は、ホストクラブでの飲食代金の返済や、メンズ地下アイドル店で遊ぶ金を得るためというケースが全体の4割で、借金を抱える女性も。そこで9月22日にはホストクラブなど計110店舗に一斉立ち入りを実施し、女性客に売春をさせて売掛金などを違法に取り立てないよう、注意喚起を行った。
立ちんぼの一斉逮捕といえば、大阪・梅田の待ち合わせスポット「泉の広場」が象徴的だ。2019年から2020年にかけて、17歳から64歳の女61人が現行犯逮捕されたのだ。その後しばらくの間、立ちんぼは姿を消したが、現在は「泉の広場」から地上に上がった兎我野町のホテル街(通称:アメリカン通り)に出没している。
「梅田のように全てを取り締まることは、歌舞伎町では難しいかもしれない」
そう語るのは、夜の繁華街事情に詳しいライターだ。
「梅田と大久保公園周辺の立ちんぼの大きな違いは、その顔ぶれです。梅田はここ1、2年で若い女性の立ちんぼが増えましたが、それも数人程度。基本的にメンツがいつも変わらないので、警察が注意しやすいんです。8月末にアメリカン通りで3人が逮捕された際、他の女達もしばらく、通りから姿を消していました」
アメリカン通りに立つ女性の数は、平日で10人前後。月末でも15人ほどのため、警察に把握されやすい。前出のライターが言う。
「梅田の立ちんぼは皆、それぞれ自宅があって、ホストの売掛や借金返済のために立っている子が多いです。一方、歌舞伎町の立ちんぼは家出少女だったり、住所不定だったり、その日の寝床を確保するために単発的に体を売るケースが目立ちます。そうした女性が何十人もいるわけで、警察も全ての摘発は困難なのでしょう。今回、逮捕されたのはよほど派手に客引きをしたか、もともとマークされていた女のどちらかでしょう」
とはいえ「イタチごっこだ」「根本から絶たないと解決は難しい」との指摘もある。多い時で100人近くの女性が立つ歌舞伎町・大久保公園。全ての立ちんぼを取り締まるには、時間と根強い対策が必要だろう。