フジテレビの朝の顔に異常事態――。井上清華アナが10月23日、メインキャスターを務める情報番組「めざましテレビ」を6放送日連続で欠席した。
フジテレビでは同番組担当の渡邊渚アナが7月から入院加療で、無期限の休養中。さらに「めざまし8」の小室瑛莉子アナも10月12日から休んでいたが、23日に元気な姿で復帰した。
インフルエンザや新型コロナなら、定められた出勤停止期間は5日から7日。井上アナには声が出ないなどの後遺症が残っているか、それ以上に深刻な病状であることが伺える。
そんな中で渡邊アナが22日、3カ月ぶりに公式インスタグラムを更新。自身の病状を説明した。
入院直後にベッドに横たわる写真をアップした渡邊アナの顔は土気色で、頬や唇にも色はなく、生死にかかわる大病であったことは明らか。
〈6月頭に体調を崩し、7月半ばから入院・治療のため仕事をお休みしています〉
〈この4ヶ月で私はいろんなものを失いました。食べられなくなった。うまく歩けなくなった。うまく指が動かなくなった。大切にしていた仕事もなくなった。目標もなくなった。できなくなったことを数えるとキリがないくらい。自分の手のひらから大事なものがどんどんこぼれ落ちていきました〉
なんとも深刻な言葉が並んでいることに驚く。
〈何もできなくなっていく自分が怖くて、悔しくて、悲しくて泣いてばかり。今まで何のために頑張ってきたのだろう、いっそこのまま生きることを投げ出したいとも思いました。もっと自分を大切にしていればよかった。身体の悲鳴に耳を傾ければよかった、心に素直になればよかった。たらればを言い始めると止まらなくなりますが、時を戻すことも、人生をやり直すこともできません〉
悲痛な心境を語る渡辺アナだが、大病は彼女の落ち度によるものではなく、フジテレビの過酷な勤務にあるのだろうと、視聴者は思っている。なにしろ倒れるまでの彼女の勤務実態は「底なしの闇」だった。
平日は5時25分スタートの「めざましテレビ」に合わせて深夜2時起き(隔日出演)。「めざましテレビ」が終われば、視聴率が1%以下の生放送バラエティー「ぽかぽか」(月~金曜午前11時50分)の進行役を毎日務め、その後は「めざましテレビ」のグルメレポートのため、ロケへ。
さらに平日の早朝番組を担当していながら週末も休みはなく、「ワイドナショー」(日曜10時)の生放送とW杯バレーボールの事前取材も担当。労働基準監督署が監査に入ってもおかしくないような勤務状態が続いていた。
インスタでは病名こそ明かしていないが、彼女本人の「指が動かない」という病状説明から、ギランバレー症候群など患者自身の過労やストレスによる免疫低下が原因の神経疾患と推察される。
これまでも大塚範一氏、笠井信輔氏…とフジテレビの朝の顔は病に倒れてきた。視聴率0%に近い「ぽかぽか」を打ち切りにもしない編成担当の優柔不断さもさることながら、ほとんど誰も見ていない番組で自局アナウンサーを酷使し、未来を奪ったフジテレビの役員や労働組合こそ、責任を問われるべきだろう。
〈最近やっとスマホを片手で持てるだけの力が出てきました〉
〈いつか社会復帰できる日を目指して、ゼロから小さな努力をコツコツ積み重ねていきます!〉
そう締め括った渡邊アナ。彼女の頑張りを見てきた視聴者は、いつまでも社会復帰を待っている。
(那須優子/医療ジャーナリスト)