「南京虫」という別名もあるトコジラミ。日中は段ボールやベッド、壁の隙間などに潜み、夜間、這い出してくる。刺されると激しいかゆみに見舞われ、発熱することもあるという。
日本では戦後、強力な殺虫剤により撲滅されたこのトコジラミだが、このところ外国人観観光客の荷物に紛れて侵入、繁殖し始めているというからシャレにならない。
サイエンスライターが言う。
「体長は4.5~5ミリ程度で、肉眼でも確認できる大きさです。エサは人間や動物の血液ですが、血を吸わなくても2~3カ月は生存が可能なんです」
トコジラミは吸血した大部分をフンとして出すため、潜伏場所には赤いフンの跡が残る。
「まず天井や壁、カーテンなどに2ミリ程度のそんな汚れがないかチェックしてみましょう。発見したら、部屋の隅や押入れの奥、ベッドの下などの狭い隙間にプロポクスルやメトキサジアゾンなどの有効な成分が入った殺虫剤をスプレーして駆除する。市販の虫よけ剤で肌刺されることも防げます」(前出・サイエンスライター)
ただ、薬剤に抵抗力のある「スーパートコジラミ」は、通常のものと比べ1000倍の耐性と言われる。市販の殺虫剤では駆除が困難で、専門業者に依頼せざるを得ないのだが、現在、そんな超トコジラミが広まっているというのだ。
「駆除費用は繁殖状況によっても異なりますが、おおむね12万~13万円程度。日中はベッド、ソファなどの隙間に潜んでいるため、素人ではなかなか見つからないそうです。日本での発生時期は梅雨どきから秋口にかけてなのですが、空調設備が整っているため1年じゅう生き続け、冬にも発生する。今年は暖冬とされることから、日本はトコジラミの生息にとってもってこいの環境になりそうです」(前出・サイエンスライター)
コロナ明けの外国人観光客の増加と暖冬で、被害が急増しそうだ。
(蓮見茂)