東京ビッグサイトで開催されたアートイベント「デザインフェスタvo.58」(11月11、12日)に出店した焼き菓子店「Honey×Honey xoxo」(東京都目黒区)の商品をめぐり、大騒動が起きている。販売されたマフィンが「納豆みたいに糸を引いていて臭かった」というのだ。食べた人たちが腹痛、下痢、嘔吐などの異変を訴える、食中毒の発生である。
この騒動を受けて、厚労省は販売されたマフィン約3000個について、健康被害が最も大きい「CLASS I」のリコール対象とする事態に発展している。これは「喫食による重篤な健康被害または死亡の原因になり得る可能性が高い場合」というレベルに相当する深刻さだ。
この食中毒騒動の背景には、販売店の製造・販売感覚の杜撰さがあった。砂糖控えめ保存料なしの食品を製造から5日後に焼きたてとして販売、検品は当日の朝にひとつ食べるのみ、要冷蔵のはずなのに常温販売…といった具合だ。この有様で出店基準をクリアしていることにも疑問符がつく。
購入者の声を受けて保健所が衛生調査に乗り出したが、店側の対応も驚くべきものだった。販売したマフィンを自主回収するとアナウンスしたのだが、
「(問題のマフィンを)レターパックで送ってください」
フードアナリストがアキレ顔で言う。
「そもそもレターパックで、常温保存が可能な食品でない生ものは送れません。腐った食べ物、しかも単にラップで包まれたようなお菓子にレターパックを指定するなど、ありえないこと。きちんと密閉もできませんし、ニオイが外に漏れ出て、他の郵便物に影響を与えるかもしれない。食中毒ということであれば、そもそもこのマフィンには『菌』が入っていることになります」
これではどんどん炎上を繰り返すのも無理はない。
(小津うゆ)