デザイナーなんて職業自体がイケすかねぇ…という個人的な偏見のもとに、この記事を書いている。
2016年に新宿区の明治神宮外苑で開かれた「東京デザインウィーク」で、日本工業大学工学部の学生が作った木製ジャングルジムから出火。ジャングルジムの中で遊んでいた5歳男児が焼死した事故を覚えているだろうか。あの悲劇から7年が経過したが、デザイナー達の「安全意識の低さ」に変わりはないらしい。
プロアマの参加が可能なアートイベント「デザインフェスタvol.58」で販売された焼き菓子が原因とみられる、食中毒が発生したのだ。
体調不良を訴えたのは11月11日、12日の2日間に東京ビッグサイトで開催された同フェスタで、出店した洋菓子店「Honey×Honey xoxo」(東京都目黒区)が販売したマフィンの購入客だ。マフィンを食べた人が腹痛などに襲われたほか、マフィンから「納豆のような臭いがする」「マフィンが糸を引いている」とのSNS投稿が相次いだ。
この洋菓子店は「全て添加物、防腐剤不使用で、市販の焼き菓子の半分以下の砂糖の量で作っており、離乳食完了期の子供でも食べられる」「食物アレルギーのあるお子さんにも配慮」を売りにしていた。が、食中毒騒動後、店の公式アカウントで、
〈1人で製造をしておりますので、5日間ずっと製造しないと間に合わないため、製造し続けておりました。自分の認識の甘さを痛感しており、そのことで当店のマフィンを楽しみにしててくださった皆様にご迷惑をおかけしてしまいました。このことを重く受け止め、2度とこのようなことがないよう営業を停止しようと思います〉
なんと乳幼児向けの安全なお菓子と謳いながら、イベント5日前に作り置きしていたマフィンを販売していたと明かし、謝罪したのだった。
焼き菓子やジャム、ドライフルーツに砂糖を加えるのには理由がある。砂糖には水分を抱え込む性質があり、カビや病原菌を繁殖しにくくさせる防腐効果があるからだ。砂糖を必要量の半量にまで減らし、防腐剤も使わなければ、たとえ焼き菓子でも2日で傷む。ましてや11月7日は、東京都心の最高気温が27.5度を超え、100年ぶりに11月の最高気温の記録を更新していた。
主催者も11月15日までに公式サイトで、
〈このような事態となりましたことから、フードエリアへの出展者様に対しては、商品の衛生管理に万全を期すよう、これまで以上に注意喚起していきたいと考えております〉
今後の対応についてそう明記したが、素直には信用できない。なにしろ冒頭で挙げた男児焼死事故の悲劇から7年ぶりに開催された、今夏の「東京デザインウィーク2023」にしても、イベント代表者がこんな驚くべきコメントを発表しているからだ。
〈長年に亘り国内外(約7500名)の学生のクリエィティブの発表の場であった発表展がこの7年間非開催となり、学生達の発表の場が消失したことは残念でなりません〉
なんと不謹慎な発言か。焼死事故当時の責任者や理事が責任を問われず居座っていることもバレて、猛批判を浴びた。安全性や機能性を重視してこそのデザインなのに。何を勘違いしているのだろうか。
(那須優子)