マグニチュードは7.7。3月28日に発生したミャンマー巨大地震の衝撃は、隣国タイにも及んだ。首都バンコクでは3月30日、建設中の高層ビルが崩壊した。現場では警察や救助隊が総力を挙げ、ガレキの下に取り残された人々の懸命な救出活動が続けられている。
日本人が多く暮らすタイではこれまで、大きな地震はほとんど発生しておらず、建物の耐震強度も日本と比べて低いとされる。4月13日から始まるソンクラーン(伝統的な水かけ祭り)や、日本のゴールデンウィークを控え、余震の影響が旅行者に広がる可能性がある。
タイで地震に遭遇した場合、どのように行動すればいいのか。タイ在住の日本人旅行業関係者は、命を守るために次のようなアドバイスを送る。
「今回の地震で建設中の高層ビルが崩壊したことから、タイでは高層階の建物が地震に弱いことが明らかになりました。在住日本人の間でも、住んでいる高層コンドミニアムの部屋の壁に亀裂が入ったり、エレベーターホールの天井の一部が崩落したりする被害が報告されています。ホテルの屋上プールから水が大量に流れ出す様子を捉えた動画も拡散されました。こうした被害を避けるためには、旅行の際にはできるだけ高層階のホテルを選ばないのが賢明ですね」
そして避難の際の注意点を、次のように指摘するのだった。
「タイでは耐震性が十分ではないため、まずは屋外に避難することを優先してください。その際、エレベーターを使用せず、階段を使うようにする。今回の地震ではエレベーターが停止し、中に閉じ込められるケースが発生しました。避難時には大きな建物や看板、大きな木の近くを避け、広い場所へ移動することが重要です」
さらに今回の地震ではBTS(高架鉄道)や地下鉄が運行を停止し、多くの人々が帰宅困難に陥った。日本人旅行業関係者が続ける。
「帰宅困難になった場合は無理に移動しようとせず、近くの避難場所にとどまることが求められます。もし避難所が近くにない場合は、大きなホテルのロビーの避難口付近など、長時間滞在が可能で安全な場所を選ぶようにしたところです」
この地震被害を受けて、バンコクでは一時的な避難先として公園4カ所が24時間、開放された。地震の発生が少なく、避難場所の整備が進んでいないバンコクでは、防災対策の強化が急務とされている。