一時は沈静化していた楽天球団の身売り説が再び、まことしやかに囁かれ始めている。スポーツ紙プロ野球担当デスクが声を潜めて言う。
「楽天本体の三木谷浩史会長が、プロ野球球団の経営に興味を失っているようなのです」
原因はいくつかある。まずは楽天球団が今後、飛躍的に強くなる見込みに欠けていること。楽天グループは今年8月1日に決算会見を行い、2023年1月から6月までの連結決算が1399億円の最終赤字だったことを公表。期待していた楽天モバイルの契約件数が伸び悩んでいることに加え、2024年間からの3年間で1兆円規模の社債の返還が迫っている。現在、楽天球団自体は若干の黒字にはなっているが、今後、ソフトバンクのような高額な補強費を支払うまでの余裕はない。スポーツ紙遊軍記者は、楽天球団の今後を次のように推察する。
「今の戦力では、優勝争いは無理。費用がかさむFA戦線にも参加しないようだし、バウアーのような大物外国人を獲得できる余裕もないですからね。よほど若手が育たなければ、万年Bクラスの可能性大です」
さらに追い討ちをかけているのが、サッカーJ1神戸の初優勝だ。三木谷会長は元々、大のサッカーファンで、どちらかといえば楽天球団よりもヴィッセル神戸に入れ込んでいた。その神戸の優勝で、さらにサッカーへの思い入れは強くなったことだろう。在阪スポーツ紙サッカー担当記者も、
「三木谷会長は、神戸の優勝が決まって選手から胴上げされたことをすごく喜んでいた。満面の笑みでしたからね」
その上、かつてのドラフト1位投手・安楽智大の「パワハラ騒動」が拍車をかけている。一流の経営者で、政財界にも顔が利く三木谷会長だけに、コンプライアンスを重視していることは間違いない。パワハラで世間を騒がすなど、もってのほかだろう。
優勝し、日本一になれば観客動員が増え、収益は上がる。妙なウワサを封印するためにも、楽天ナインの来季の奮起が期待されるところだが…。
(阿部勝彦)