プロ野球・楽天が大揺れだ。2014年ドラフト1位で入団した安楽智大投手による複数選手へのハラスメント疑惑が浮上。球団は本人への聞き取りと監督、選手、スタッフら総勢100人に11月26日を提出期限とした緊急聞き取り調査を行ったことを明かした。
楽天球団の森井誠之社長は「お恥ずかしい限りで反省の弁しかない。企業として未熟な部分が大きかった」とコメント。安楽本人には「『犯人探し』は決してするな」と通達したとのことで、限りなく黒に近いグレーの状態であること示唆した。楽天担当記者が言う。
安楽には「高校時代からパワハラ気質があり、ドラフト前の『身体検査』で指名撤退を決めた球団もあったそうです。今後は楽天に自由契約を通達された上で他球団への移籍を模索する可能性が高いですが、獲得する日本の球団はまずないでしょう」
プロスポーツは結果が全てだが、上下関係が根強く残る世界でもある。今回、安楽のハラスメントが明らかになったのは楽天の契約更新の事情が絡んでいるのだ。
プロ野球の選手会では毎年、全球団の年俸調査と契約更改の満足度調査の結果を発表している。楽天の球団平均年俸は、巨人の6807万円、ソフトバンクの6763万円に次ぐ3位で5353万円なのだが、契約の満足度調査では12球団でダントツの最下位。
「田中(将大)が今年は4億7500円(年俸は全て推定)でしたが、ヤンキースから移籍した初年度は出来高を含めて9億円ですよ。反対にプロ10年目でも年俸1000万円以下の選手がいて、格差が12球団で最も大きい球団なんです。当然ながら今回のハラスメントを『告発』した選手の中に高額年俸の選手はいなかったようです」(別の楽天担当記者)
9年目の安楽の年俸は今季3700万円。中継ぎで57試合に登板して防御率は3.04という成績にしては楽天では稼いでいる部類だ。ハラスメントは「アウト」のご時世、今回の疑惑浮上はそこそこの年俸を稼ぎ続ける安楽への「恨み」が爆発した格好でもある。楽天にとっては企業のイメージダウンも避けられない最悪の状況だ。
(小田龍司)