遡ること五十数年前の1967年12月15日。米ウェストバージニア州にあるポイント・プレザントと、オハイオ州カノーガを結ぶシルバー・ブリッジで大規模な崩落事故が発生し、46人の犠牲者が出るという大惨事が起こった。
その後、事故原因は橋の基礎構造である吊り鉄板チェーンの老朽化による欠損だったことが判明。だがこの時、何者かによって撮影された、崩落する橋にへばりつく生物のような写真が出回ったことで、この未確認生物が大事故になんらかの影響を与えたのではないか、との説が浮上することとなった。
その謎の生物こそが、1966年頃からポイント・プレザント一帯で目撃談が相次いでいた「モスマン(蛾人間)」と呼ばれるUMAだった。UMA研究家が解説する。
「モスマンは全身が黒い毛で覆われており、体長は2メートルほど。ネズミやコウモリに似た『キィキィ』という鳴き声を発します。夜に空を飛び回って動物などを捕獲し、餌にしているといいます。かつて先住民の間では『バード』と呼ばれ、恐れられていた。のちにアメリカの動物学者で、UFOや超常現象を研究するアイヴァン・サンダーソン博士がモスマンと名付けると、マスコミを通じて浸透し、一般的に定着したとされています」
モスマンが初めて目撃されたのは、1966年11月12日。場所はウェストバージニア州レンデニンの墓地だったが、2日後の14日には、同州ポイント・プレザントのTNTエリア(もともと火薬工場であった地域)付近で、ドライブ中の若者達がこの謎の生物に遭遇。なんと、追跡されるという事件が発生したのである。
1年後の1967年12月15日、問題となったシルバー・ブリッジ付近での目撃情報を最後に、モスマンは忽然と姿を消した。前出のUMA研究家が語る。
「実はその後しばらく目撃情報はなかったものの、2017年に突如としてミシガン湖周辺で目撃され、さらにはイリノイ州シカゴのオヘア国際空港にも出現しました。目撃者の証言によれば、凄まじい絶叫とともに飛び去ったとされています。ウェストバージニア州で目撃談が多発した際に専門家の調査が行われたものの、その見解は『イヌワシやフクロウ等の大型鳥類と見間違えたのではないか』というものでした。しかし、全ての目撃者が『それらの鳥などとはまったく似つかない生物だった』と証言しています。当時、ポイント・プレザントではUFOの目撃情報も多数あった。UFO研究家の中には『エイリアンが連れてきたペットかもしれない』と推察する者もいましたが、その後の目撃が途絶えたことで、今もって未解明のままに…」
先住民の間には「バードを目撃した者は不幸になる」という伝承があるというが…。
(ジョン・ドゥ)