フジテレビの夕方のニュース「Live News イット!」がこの4月1日からリニューアルされた。NHKからフリーになった青井実を、メインキャスターに抜擢。女性メインキャスターの宮司愛海アナは続投だが、2020年9月28日からメインキャスターだった榎並大二郎アナは降板した。
真偽のほどはわからないが、坂上忍のパワハラで「バイキング」を降板した過去があるだけに、またもや番組を押し出された感じで、お気の毒だ。
さて、その青井キャスター。幼稚舎から大学まで慶應義塾、父方の祖父は丸井の創業者、そして高身長であの見た目ということで、思いっきり「お坊ちゃま」な雰囲気がプンプン漂う。
今年1月のNHK退職とともに「上司の許可を得ずに親族企業から役員報酬を受け取っていたことが発覚し、厳重注意を受けていた」ことも公になった。これが退職の原因とは伝わっていないが、なんとも中途半端な時期の退職に、会社から注意されて「だったら辞めます!」とケツをまくった印象しかない。ただでさえ視聴率低迷が続く「イット!」の救世主になるとは、とても思えないのだが…。
お手並み拝見と、初日の放送をオープニングからじっくり見た。青井、宮司アナ、スペシャルキャスターとしてお笑いコンビ「パックンマックン」のパックンことパトリック・ハーランの3人が、なぜか報道フロアの中をゆっくり歩いて登場。パックンいわく、このオープニングの登場シーンが新しい演出だそうだが、正直、「そんな演出はいいから、早くニュースやれよ」という感じだ。
この日は今年1月1日に起きた能登半島地震から3カ月ということで、いまだ断水が続く石川県輪島市の現況を伝えるべく、現地の木村拓也アナと中継を繋ぐ場面が何度かあった。
それは番組終盤のことだ。夕食時の被災者のお宅と、中継を繋いだ。断水で洗い物もままならないため、紙皿や紙コップに盛られた料理を囲む一般家庭を紹介するというのもデリカシーがない話だが…。
その際、スタジオから青井が「足りないものだったり必要なものはどういうふうに感じてますか」と質問。これに被災者は「本当に水が。トイレの水もそうなんですけど、お風呂に入りたいですね…」と答えた。
水道復旧が進まず断水が続く中で、シャワーも2~3日に一度という生活を強いられる不便を静かに訴えたのだ。ワイプ画面には、神妙な表情で聞く青井の姿が映っていた。
問題はこの後だ。天気予報などを挟んだ後、エンディングで宮司アナに、初日を無事に終えた感想を求められた青井は、あろうことか「ゆっくりお風呂に入ります」と答えたのだ。直前に被災者が「お風呂に入りたい」と切に願う声を聞いたにもかかわらず、だ。
このデリカシーのかけらもないひと言に耳を疑ったと同時に、お坊ちゃま青井実の人柄がわかった気がした。
はたして今後、「イット!」はどうなるのか。青井には「風呂じゃなくて被災者の気持ちを汲めよ」と強く言いたい。
(堀江南)