群馬県を走る上信電鉄が、5月10日から500形電車を淡い黄色の「西武イエロー」にして運行を開始している。
上信電鉄の500形は西武鉄道の101系電車を譲り受けたもので、2編成が導入されている。西武イエローになるのは、そのうちの1編成。2004年に譲渡され、今年で上信電鉄入線から20年になることを記念して、西武鉄道の理解と協力を得て西武イエローに塗り替えられた。運行開始と同時に、沿線には新たな塗色の車両を写真に収めようと、多くの撮り鉄が集結している。
西武鉄道の101系電車は上信電鉄だけでなく、伊豆箱根鉄道駿豆線や近江鉄道など多くの地方ローカル線に譲渡、運用されている。三重県を走る三岐鉄道では、2018年4月から元101系の751系電車を西武イエローにして走らせている(写真)。
以前の塗色に戻す流れは地方ローカル線でちょっとしたブームになっていると、鉄道ライターは指摘する。
「JR西日本は381系の特急『やくも』が定期運行を終了するのに合わせて、以前の塗色に戻して運行しています。広島電鉄は宮島線開業100周年を記念して、3編成を『直通色』に塗り替え、2022年から走らせています。えちごトキめき鉄道は413系と455系の4両をJR西日本から購入し、朱色とクリーム色の国鉄急行色にして、観光急行として運用している。他にも以前の塗色を復活させた例はいくつもあります」
なぜ塗色を復活させるケースが続いているのか。その答えは「集客」だ。前出の鉄道ライターが解説する。
「以前のカラーを復活させると、それだけで多くの鉄道ファンが集まります。えちごトキめき鉄道の観光急行には撮り鉄だけでなく、乗り鉄も多数訪れています。千葉の小湊鉄道はJR東日本から譲り受けたキハ40を以前の塗色にして運行させ、週末には観光客と鉄道ファンで大盛況。利用客が減っている地方ローカル線にとって、塗色の復活は安価でできる集客の起爆剤なんです」
この動きは今後も続きそう。あちこち遠出をすることになる鉄道ファンにとっては、嬉しい悲鳴といったところだろう。
(海野久泰)