単なる鉄道ファンの前のめりな行為では済ますことができない騒動ではないか。
今年1月、鉄道好きの男子高校生がJR東日本の社員を装い、JR八高線の運転席に侵入する事件が起きていたことが明らかになった。
高校生はスーツを着用し自作の名札をつけ、拝島駅のホームで立っていたところを運転手から声をかけられ、運転席に同乗。そのまま東飯能駅まで運転席に乗車したが、運転手は不審者と気が付かなかったという。
高校生は鉄道好きで、運転の様子を近くで見たかったと警察に話している。しかし純粋な鉄道好きだったことから大事にはならなかったものの、もしテロリストが起こしていたらどうなっていたか。列車を暴走させ停車中の車両に激突させる「自爆テロ」を想像すると恐怖でならない。
だが、そんな大惨事が起きることはないと鉄道ライターは言う。
「今の車両は『Automatic Train Stop』、通称『ATS』と呼ばれる自動列車停止装置が搭載されていて、速度を落とさずに駅に進入しようとすると自動でブレーキがかかるようになっています。今のシステムは運転士が解除することはできません。導入が義務化されているのでJR各社はもちろんのこと、地方の私鉄でも搭載されていますし、国鉄時代に作られた古い蒸気機関車にも後付けされているので安心してください」
この装置によって自爆テロができないこと、ジャックしても自由に移動できないこともあって、列車の乗っ取り事件は極めて少ない。それでも運転席の立ち入りについては何らかの対策をする必要があるだろう。