日本列島に大きな爪痕を残した台風7号。公共交通機関に影響を与え、東海道新幹線は8月16日と17日の2日間にわたって運行中止や遅延などの被害に見舞われた。
特に被害が大きかった16日は約5時間半も運転見合わせとなり、運休は185本以上で遅れは240本以上。最終列車は午前1時すぎに東京駅を出発し、朝6時半過ぎに新大阪駅に到着する異例の運行となった。
これに注目したのが鉄道ファンだ。新幹線は朝6時から夜12時までの間しか走行できないと決まっているため夜通し走ることはなく、本来ならありえないダイヤになったからだ。一般客にとっては迷惑でしかない深夜輸送も、鉄道ファンにとっては貴重な体験になるのである。
するとさっそくネット上には「ムーンライトのぞみ乗ってみたかった」「ムーンライトのぞみうらやましい」という声があがり、「ムーンライトのぞみ」がトレンド入りするほど盛り上がりを見せたのだが、「ムーンライト」とは何か。鉄道ライターが解説する。
「『ムーンライト』は夜行の快速列車につけられる列車名で、かつては東京駅や上野駅、新宿駅、京都駅などから多くのムーンライトが発車していました。18きっぷで乗れるので、重宝されていたんです。最後まで走っていた『ムーンライトながら』ですが、20年を最後に運行がなくなり、今は『ムーンライト』を名乗る列車は走っていません。それだけに、のぞみがムーンライトのようなダイヤで走ったことが鉄道ファンにはたまらなかったようです」
また今回「ムーンライトのぞみ」だけではなく「サンライズのぞみ」というワードも飛び交った。サンライズ瀬戸・出雲は東京と高松・出雲市を結ぶ寝台特急で、定期運行している唯一の寝台列車だからだ。
「サンライズは寝台列車なので、座席だけのムーンライトのほうがイメージとしては今回ののぞみにはピッタリ合うような気がします。やはり『ムーンライトのぞみ』と呼びたい」(前出・鉄道ライター)
鉄道ファンは大喜びだが、こんなことは二度と起きてほしくないものだ。