名球会まで「あと3勝」が、こんなにも遠いものになるとは――。球界きってのスター投手が、崖っぷちに追い込まれている。今季を開幕から2軍で過ごしている楽天・田中将大は8月7日になってようやく2軍の練習試合に先発登板したが、これが4カ月半ぶりの実戦。今季中の1軍復帰を目指すというのだが、復帰どころか、今江体制の下ではいよいよ居場所がなくなりつつあるという。(2024年7月15日配信)
楽天に田中将大不要論が蔓延している。
首位ソフトバンクからは大きく引き離されており、数字上、優勝争いは困難だとしても、まだまだクライマックス・シリーズ出場圏内を狙える位置に踏みとどまっている。
ただ、早川隆久以外に計算できる先発投手がおらず、先発陣の強化と再編は急務だ。となれば真っ先に名前が挙がるのは2軍調整中の田中将大だが、チーム内にそんな声は皆無だというのである。仙台のテレビ局関係者が自嘲気味に言う。
「ペナントレース争いとは別に、本来ならば既に200勝を達成している。オフに放送するお祝い特番の準備を始めようと思っていた時期ですが、いつになることやら。今年もお蔵入りになるかもしれない。引退特番を作るようになったら、シャレにもならないですよ」
事実、田中の本格復帰は延び延びになっている。昨年10月に右肘のクリーニング手術を受けたことで、春季キャンプに出遅れ。それでも前半戦中には復帰登板を果たし、チームに貢献する予定だったが、現状では球宴明け直後に1軍のマウンドに立つどころか、2軍での調整登板すら決まっていない。スポーツ紙遊軍記者はこの現状に、
「このまま登板せずにシーズンを終える可能性もある」
と、衝撃の先行きを口にする。
「優勝やAクラス争いから脱落した時点で、今江敏晃監督は来季以降のチーム作りを考え、若手を積極的に起用することになるでしょう。田中を登板させる余裕はないですよ」
球団OBも悲観的だ。
「1年契約だし、2億6000万円の年俸はあまりに高すぎる。シーズン終了後に自由契約となり、楽天を退団しても、誰も驚かないですよ」
200勝を視野に入れる田中だけに、楽天を退団した時点で他球団に売り込むことになるが、コトは簡単に進まない。前出の遊軍記者は、
「普通なら今の実力を考えれば、獲得するチームはなかなか出てこない。プライドを捨ててテスト入団するぐらいの気持ちにならないと、現役続行は難しいでしょうね」
かつては日本球界で無双状態を誇ったマー君だが、このままなら話題になるのは電撃引退だけかもしれない。
(阿部勝彦)