日本の「大本命」が早々に敗退し、団体戦では「ズルーレット」なる疑惑が生まれたパリ五輪の柔道。阿部詩の「ギャン泣き」は大いに同情を集めた一方で、スポーツマンとしての態度を疑問視する「アンチ」も出た。あの重鎮タレントもそのひとりだったのである。(2024年7月29日配信)
パリ五輪・柔道女子52キロ級・阿部詩の「衝撃敗退」が波紋を広げている。五輪連覇を狙う阿部は、2回戦で世界ランク1位のケルディヨロワ(ウズベキスタン)と対戦し、まさかの一本負け。準決勝に進むことができず、メダルの可能性が消えてしまった。
前評判では五輪連覇はほぼ間違いなしと言われていただけに、本人はもとより、ファンも大きなショックを受けた。茫然自失で畳を降りると、コーチの胸にしがみついて人目をはばかることなく大号泣する阿部に、場内からは拍手とともに「ウタ、ウタ、ウタ!」と「ウタコール」が送られた。
ところがこの状況を目にして、否定的な見方をする向きも。泣きじゃくる阿部の姿を「礼節を欠いた行為」と受け取ったからだ。
賛否はあるものの、7月29日の「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ)では番組冒頭、パーソナリティーの森本が阿部の試合に言及した。
「阿部詩さんが負けちゃって。会場に響き渡るような号泣でね。長かったな、泣いてる時間が。コーチが早く引き上げさせてやらなければいけませんね。パフォーマンスっていったら失礼だけど、泣きわめいて…。なんとかならなかったのかな」
阿部の号泣をピシャリと制したのだった。あまりにも辛辣な意見に、リスナーはどう思っただろうか。
テレビ中継で見た視聴者の、SNSでの主張を見ると、多くの人が阿部に同情的ながら、
〈武道家としての態度ではない〉
〈ギャン泣きして後ろの試合に迷惑かけていいのか〉
などとかなり手厳しいものがある。
阿部は昨年10月の国際大会を欠場したことで世界ランキング9位となり、五輪で上位8人のシードに入れず、世界ランク1位の選手と早々に対戦することになった。金メダル獲得を最優先させたことが、結果的に裏目に出た形である。
早すぎる終戦を迎えた阿部はその後、会見に臨み、今回の敗戦を糧に2028年のロサンゼルス五輪でのリベンジを明言している。
(ケン高田)