未曽有の少子化が進む中国で今、習近平国家主席が推し進める「とんでもない少子化対策」がヤリ玉に挙げられている。
少子化対策を担う国家衛生健康委員会は10月、公式SNS上で発出したプロパガンダのファンタジーぶりは笑撃的だった。「女性が子供を産む大きなメリット」と題された投稿では「妊産婦や家族は、出産がもたらす前向きな価値に目を向けるべきだ」とした上で、妊娠や出産で得られる利点を次のように喧伝していたのだ。
●妊娠は卵巣ガンの発症を防ぐ
●出産は子宮筋腫の発症率を下げる
●妊娠と出産は女性を賢くする
このうち「女性を賢くする」との指摘は、中国国内で「妊娠すると物忘れをしやすくなる」との俗説を打ち消すためのプロパガンダだと言われているが、いずれも科学的根拠の全くない「デマ」であることは一目瞭然である。
そのため「当局こそ妊娠して知力を上げろ」など、中国人民女性を中心に、猛烈な反発の声がネット上などで一斉に噴出。国家衛生健康委員会は早々に、公式SNS上の投稿を削除するハメになった。
習近平体制のデタラメ内情に詳しい中国専門家が、次のように畳みかける。
「少子化の進行による国力低下を恐れる習近平は近年、集合住宅などに住む既婚女性を対象として、関係当局の担当者に出産計画を尋ねる電話をかけさせています。中には戸別訪問を実施して、次の生理日を申告するよう迫った担当者もいたといいます。そもそも中国では9年前まで『ひとりっ子政策』を強力に推進していた。時に罰則を課してまで強要していたその政策から一転、ナチス・ドイツに由来する『産めよ殖やせよ』を押しつけられたのでは、現代の独裁者・習近平に対する怒りの声が上がるのも当然でしょう」
まさにブラックジョークを地で行く、自業自得の「笑撃顛末」と言えるだろう。
(石森巌)