これは佐々木朗希の交渉にも影響してきそうだ。メジャーリーグの移籍・補強情報をメインとしている米サイト「トレード・ルーマーズ」が、ショッキングなトレードの可能性を指摘した。パドレスが今季ナ・リーグの首位打者で、大谷翔平の三冠王を阻止したルイス・アラエスの放出を検討しているというものだ。現地ジャーナリストは驚きを隠さない。
「アラエスは今年5月、若手4選手を交換要員にして、マーリンズから獲得した中心選手です。今季年俸は1060万ドル(約14億8400万円)で、フリーエージェントになるのは来季オフです。3度目の首位打者獲得で昇給は必至ですが、パドレスが払えないはずがありません」
だが同時に「経費削減の方向にある」と、複数の米メディアが伝えていた。
パドレスは今季、球団史上初となるシーズン333万人強の観客動員数を記録した。メジャーリーグ全体では3位であり、「観客増=増収」なのに、経費節減は不可解だ。現地ジャーナリストが続ける。
「来季も『暫定人事』のまま、球団が運営されるようです。この暫定人事が決定事項になる可能性もあれば、新しくトップに立つ人が内々に決まったのかもしれません。経費削減によるアラエス放出の話は、そのまだ表に出ていない新トップの意向なのかもしれません」
パドレスの前オーナー、ピーター・サイドラー氏が亡くなったのは2023年11月。2022年2月にダルビッシュ有と改めて6年の長期契約を結んだのはサイドラー氏の強い要望によるもので、高年俸でも実力派揃いのチームを編成してきたのはその影響だった。
「サイドラー氏が亡くなった後、右腕だったエリック・クツェンダ氏が暫定的に球団を管理し、まとめてきました。昨年オフの松井裕樹の獲得、佐々木朗希の争奪戦への参戦は、クツェンダ氏が陣頭指揮を執ってきました」(メジャーリーグ関係者)
アラエスのトレード獲得も、クツェンダ氏がゴーサインを出したものだ。
首位打者の放出が現実のものとなれば、「パドレスも希望球団のひとつ」と報じられきた佐々木争奪戦の行方は変わるだろう。佐々木獲得の本命はドジャースと言われるが、前出の現地ジャーナリストによれば、
「大谷人気に飲み込まれてしまうことを根拠に、パドレス有力説が唱えられるようになった」
佐々木サイドがパドレスとすでに水面下で話をしているのであれば、クツェンダ氏が今後どうなるのか、経営体制がどう変わっていくのかを確認した方がよさそうだ。
(飯山満/スポーツライター)