東南アジアのタイ北部で行方不明になった、中国人俳優の王星さん。その後、ミャンマーで発見され、無事に保護されたと、タイ当局が発表した。王さんはSNSを通じてタイの大手メディア企業の関係者を名乗る人物から出演依頼を受け、タイを訪れていた。
ところが到着後に詐欺グループの拠点へと連れて行かれ、他の約50人の中国人とともに、特殊詐欺の手法を教え込まれる状況に置かれたという。警察によれば、王さんには暴行や虐待を受けた形跡は確認されていないものの、保護時には頭が丸刈りにされていた。
この地域は大規模な組織犯罪や人身売買が横行することで知られており、現地事情に詳しいジャーナリストは、
「タイとミャンマーの国境付近では、こうした事件は珍しくありません」
と指摘する。続けて解説するには、
「昔からこの辺りでは、身寄りのない旅行者が連れ去られ、特殊詐欺の訓練を受けさせられる事件が繰り返されています。最近では男性だけでなく、女性も被害に遭っています。海外の高額パパ活やキャバクラといった出稼ぎ案件を装い、実際には誘拐されてミャンマー国境付近のサウナなどで働かされるケースが増えています」
タイ当局はこの事件の背後に組織犯罪が関与している可能性が高いとみており、引き続き捜査を進めるとともに、再発防止策の強化に取り組む方針を示している。
特殊詐欺の訓練や人身売買を伴う誘拐は珍しくなく、近年は性別を問わず被害が拡大している。タイ当局の捜査の進展と、地域全体での犯罪抑止対策の強化が求められる。